身軽さが魅力の賃貸マンション。「気軽さがある一方で、避けられない不便さもある」と話すのは、持ち家率の高い地域で築35年の賃貸マンションで夫婦2人暮らしをしている深尾双葉さん(42歳)。ライフスタイルの変化を経て実感した、賃貸暮らしのメリット・デメリットを語ります。

賃貸マンションの部屋
この部屋に引っ越して約9年、今までの部屋でいちばん気に入っています
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メリット1:身軽に生きていける

棚の上の壺
なにかが起こったとき、すぐに移動できる身軽さはとてもいい

抱えるものはできるだけ少ない方がいい。それが、私たち夫婦で共有している価値観です。

現在、2人ともフリーランスとして仕事をしているため収入に波があるため、住宅ローンという長期の大きな負担を抱えないということは、経済面だけでなく、精神的な安定にもつながっているように感じています。

そのときどきの状況に合わせて暮らし方を柔軟に選べるということは、私にとってとても大きな安心材料です。賃貸という住まい方は、その時代の流れに合わせて軽やかに生きていきたいと考える私のスタイルにとてもよく合っているように思います。

振り返ってみると、20代、30代、40代と、価値観は自分でも驚くほどに大きく変化してきました。若い頃には想像もしなかった興味や関心が生まれ、暮らし方や大切にしたいものも、少しずつ変わってきたように思います。

これから先、旅先で思いがけず心惹かれる場所に出合うかもしれないし、ある街の空気に魅了されて、ここで暮らしてみたいと思う日が来るかもしれない。そんなふうに、ふとしたきっかけで人生の景色が変わることもあるのだと思います。

そう思い立ったときに、身軽に動けるということ。場所に縛られることなく、今の自分にとって心地よい場所へ移っていけるという自由さ。それもまた、私が賃貸という暮らし方を選び続けている大きな理由の1つです。

メリット2:近所づき合いがほどよい距離感

マンションの玄関
ささやかな温かさを感じる距離感が、今はとても心地よく感じます

賃貸マンションは、ご近所とのつき合いが希薄だとよく耳にします。確かに、顔を合わせる機会は多くありませんし、お互いの生活を深く知ることもほとんどありません。けれど私にとっては、その距離感がとても心地よく感じられています。

お隣の方とは、顔を合わせたときに軽く言葉を交わす程度。エレベーターで一緒になった方とは、「今日も寒いですね」「いいお天気ですね」といった短い会話をすることもあります。

ほんの数秒のやり取りですが、そのささやかな交流が、暮らしに温かさを添えてくれるように感じています。

昔ながらのご近所づき合いには、もちろん憧れもあります。季節の食べ物をおすそ分けしたり、困ったときに助け合ったり、そんな関係性はとてもすてきだなと思います。

けれど、賃貸マンションの暮らしにはまた違った気軽さがあります。町内会や当番などに縛られず、いい意味でお互いの生活に踏み込みすぎない、お互いの暮らしをそっと尊重し合う関係性が、今の私たちにはちょうどよく心地よいと感じています。

メリット3:固定資産税や修繕費がかからない

机の上の財布
賃貸を選ぶ大きな理由の1つが、お金がかからないということ

固定資産税や修繕費がかからないことも、賃貸を選ぶ大きな理由のひとつです。

持ち家だった実家で暮らしていた頃、修繕やメンテナンスに多くの費用や手間がかかる様子を見てきました。ある日は「天井から雨漏りがしているみたい」、またある日は「瓦を直さないといけない」「塀の塗り直しをしなければ」といった具合に、住まいというものは、建てて終わりではなく、手をかけ続けていくものなのだと知りました。

私の実家は、住宅とは別に歯科医院も構えていました。建物が2つあるということはそれぞれに固定資産税がかかり、修繕や設備のメンテナンスにも費用が必要になります。大人になってからその話を聞いたとき、歯科医院のローンを払いながら、2つの建物の固定資産税や修繕費を負担し、さらに子ども2人を育ててくれた両親の大変さにあらためて驚かされました。

家や仕事場を守りながら家族を育ててきた両親の姿は、私にとって今でも誇らしいものです。だからこそ私は、少し違った暮らし方を選んでいます。建物を所有することで生まれる責任や負担を抱えるのではなく、もう少し身軽に、そのときどきの状況に合わせて暮らしていく生き方です。

賃貸であれば、建物の大きな修繕や管理の多くはオーナーや管理会社が担ってくれます。住まいに関する心配ごとが少ない分、自分の時間やエネルギーを、仕事や暮らしそのものに向けることができます。

両親のように大きなものを守り続ける生き方もすばらしい。そして私は、抱えるものを少なくして軽やかに生きる道を選ぶ。どちらが正しいというわけではなく、それぞれの人生に合った選択なのだと思っています。