東京・目白で「mon Sakata」を営むデザイナー・坂田敏子さん(78歳)。夫の店である「古道具坂田」の一角から始め、現在は全国各地で企画展や展示会を行っています。今回は、坂田さんの得意料理や朝食、夫亡き今の日々の暮らしについてお聞きしました。
※ この記事は『いつもスタートラインにいる私 78歳、糸好き・布好き・服が好き』(KADOKAWA刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。
すべての画像を見る(全5枚)わが家の味、スルメ雑煮
得意料理を挙げるなら、母から教えてもらったお正月のスルメ雑煮でしょうか。スルメ、数の子が主役で、ほかにも鶏肉、大根、ニンジンなど具だくさんのぜいたく椀。毎年クリスマスが終わると、その翌日から準備を始め、1日ごとに決めた作業を進めていって、元旦の朝に仕上げをします。1週間かけて行う年末年始のルーティンのようなものです。いろんな素材のうま味が渾然一体となり、とても滋味深い。お雑煮はこれでなくっちゃと思います。
「これ料理?」と言われますが、好評なのが、ブロッコリーパフォーマンスです。小分けにしたブロッコリーを水のままの鍋に入れ、沸騰を待ち、ちょっと硬めで引き上げたら、湯気のたつ熱々をお気に入りのボウルに移し、間髪をいれずにとっておきの塩をぱらぱらぱら! さあ、できあがったわよ。この5分間のプロセスを称して「パフォーマンス」。味? いえ、演出の勝利です。
おはよう!朝食はゆっくり時間をかけて
朝。起きるとすぐ家じゅうに「おはよう!」。そして、庭の鉢たちに「皆のもの、おはよう」と声をかけます。庭と言っても三和土(たたき)のようなコンクリートだから、植物にとっては過酷です。だから、「ちゃんと咲いてね」と励まして。ついでに、「今日も1日、がんばってね」とお願いします。植物はしゃべらないけど、日々変わる姿が愛おしい。生きてるなあ、偉いなあ。昔は、植物に興味なかったけれど。
朝食は、パンとコーヒー、納豆と葉っぱのサラダ。前日のおかずの残りがあれば、それも添えて。バターは塗らず、サラダに塩とオリーブ油を少々とシンプルです。最近は、亡き夫の残した新聞や雑誌のきり抜きも、朝食のお供です。ぱらぱら読みながら、ゆっくり時間をかけて食べています。
出かけるときは、「行ってきま~す!」。帰ると「ただいま!」。ひとり暮らしだから、だれに言うのでもないけれど。
夜。夫の写真に話しかけます。こんな人に会ったのよ。こんな出来事があったのよ。1日の報告です。眠りに就く前に、軽いストレッチ。明かりを消して、1日が終わります。
ほかにも、『いつもスタートラインにいる私 78歳、糸好き・布好き・服が好き』(KADOKAWA刊)では、坂田さんのシンプルであか抜けたおしゃれの秘訣、店を続けるということ、「古道具坂田」の店主であった亡き夫との暮らし、いま、大切にしていることなどを美しい写真とともに紹介しています。





