高知県から発信している農作業の様子が人気のYouTubeチャンネル、『ひろちゃん農園』。農園主であるひろちゃんの、種まきから収穫、ときにはトラクターの操縦までパワフルに農作業を行う姿が視聴者から人気を集めているそう。今回は日々試行錯誤を重ねるひろちゃんに、何事も楽しく元気に挑戦し続ける考え方の源をお聞きしました。毎日の農作業に欠かせない愛用の道具たちも合わせて紹介します。
※ この記事は『今日も明日も新しいことに挑戦!80代、ご機嫌に生きる人生の耕し方』(KADOKAWA刊)より一部抜粋、再構成の上作成しております。
すべての画像を見る(全8枚)自分のペースで自由に、コツコツやる「畑仕事」
こんなに夢中になっている畑仕事ですが、近所に住んでいる3人の息子も孫たちも、だれも興味がありません。
なにを育てるかなどの相談はせず、自分でコツコツと土を耕し、種をまき、肥料をつくり、雑草を抜き、病気や虫対策をしてきました。生長した野菜の支柱を立てるときや作業する屋根つきのスペースをつくるとき、長男に手伝ってもらうことはありますし、YouTubeの撮影中に一緒に収穫することもありますが、基本的には私のペースで自由にやってます。
畑の土が畑より低い横の田んぼに流れ落ちるのを防ぐため、畑と田んぼの間を流れる水路の法面めに擁壁をつくるのも自分で計画を立てて実行しました。専門の業者の方に頼んだら、1000万円ぐらいかかると言うんでね、それなら自分でやろうかなと、畑仕事の合間にブロックを積み上げました。
プロの人のようにきちっと図面を引いてというもんではありません。自分がよかったらええがよ、と思って自分なりにやりました。
屋根や作業着も自分で改良!
屋根つきのスペースも、自家製です。育苗や籾殻燻炭をつくる作業など突然の雨を避けるには屋根が必要やなと思うて、廃材などで柱を立てて屋根をつけました。コンクリートは、生コン業者さんにお願いして流し込んでもらいましたが、コテで均していくのは長男と2人でやりました。
廃材の柱は適当に打ち込んだから、長男が「柱同士がきれいな直線上になってないき、帳尻合わせるのに苦労したわ」と言いながら、木の板をつけて調整してくれました。
雨がしのげる屋根をつけて、作業できたらええがや、と私は思うちゅうけど、人によってこだわるところが違うんやね(笑)。
畑で着いちゅう(着ている)エプロンは、下に着るファンつき作業着の風がとおりやすいように自分で穴を丸くカットして仕立て直したものやし、マルチ(畑の畝を覆う資材。シート状で、雑草を生えにくくする、病気から作物を守るなどの効果が期待できる)
に穴をあける穴あけカッターは100円ショップで購入したものを改良しました。
自分が使いやすいようにするためには、どうやったらええがやろ? と考えるのは、私の性分です。
やりたいことにまっしぐら!「私なんか」は言わない
私がバックホー(油圧式ショベル)やトラクターを乗りこなすYouTube動画を見た視聴者さんから、「すごい!」「かっこいい!」「操作が上手ですばらしい」などとコメントをいただきますが、これも「土をやわらかくしたい」「野菜を育てるためには開墾が大事や」と思ったまでです。
畑で野菜つくって、コンクリート打って、といろいろしているので、「なんでも屋さんやね」と言われるけど、自分でなんでもできるのは楽しいです。息子たちも私の「やりたい病」を理解してくれちゅうき、手伝ってくれるけど、私の言うとおりにしてくれるんでしょう(笑)。
「パワフルですね」と言われますが、やりたいことがあったら、成し遂げるためにまっしぐら、やるしかない! 小さいときからそういう考え方で、なにもしないうちからあきらめるということはありませんでした。ちょっと難しいかなということでも、「どうせ、できんやろ」「私なんか」と口にしたことがありません。
人ができることは、自分もできる
それよりも「人ができることは、自分もできる」、そう思うて、勉強にも仕事にも家のことにも取り組んできた人生です。だれでも、最初はやったことないがやき、できるようにしたらいいと思って挑戦してきました。できるようになったらうれしいし、可能性も広がると思います。
畑は、私にとって、「人ができることは、自分もできる」ことを実証する研究と実験の場。栽培したことのない野菜や果物はたくさんあるき、ワクワクが止まりません。うまいことできるようになるために、これからも成功や失敗を重ねていくつもりです。1回失敗したぐらいでは落ち込まんし、「もう、やめる」とはなりません。やりたいことやから、やり続けるだけです。
