閉経の前後5年をはさんだ、計10年の「更年期」。女性ホルモン(エストロゲン)のアップダウンが激しくなることから、心身のゆらぎを感じやすくなります。ここでは、更年期の代表的な症状にはどのようなものがあるのか、女性のヘルスケアや更年期に詳しい産婦人科医の粒来 拓(つぶらい・たく)先生に伺いました。更年期症状のチェックリストをもとに解説してもらいます。

更年期PIXTA
更年期の気になる症状をチェック(※画像はイメージです)
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「簡略更年期指数」で、更年期の症状をセルフチェック

私のクリニックでも活用している「簡略更年期指数」(SMIスコア)は、現在の日本でいちばんメジャーなチェックテストです。これを使うと、自分の更年期症状の度合いを客観的に知ることができます。

●簡略更年期指数(SMIスコア)

<強度の目安>
強:症状があり、生活に支障が出ることがある
中:症状はあるが、生活に支障が出ない程度
弱:症状があるかもしれない

簡略更年期指数(SMI)

<合計点数と自己採点の評価>
0~25点:異常なし。今のところは問題なし
26~50点:食事のバランスや運動不足に注意をしましょう
51~65点:更年期・閉経外来を受診するようにしましょう
66~80点:長期にわたる計画的な治療が必要です
81~100点:各科の精密検査にもとづいた、長期にわたる計画的な治療が必要です

※ 出典:小山嵩夫ほか「簡略更年期指数:SMI」(編集部にて一部文言改変)

「のぼせ」と「冷え」は表裏一体

ホットフラッシュPIXTA
※画像はイメージです

「簡略更年期指数」の設問にもある、各症状を詳しく説明していきます。

「顔のほてり」「汗をかきやすい」「腰や手足が冷えやすい」などの症状は「血管運動神経症状」といいます。みなさんも一度は耳にしたことのあるホットフラッシュがその代表例です。更年期は自律神経の働きが乱れ、体温調節がうまくできなくなることが原因なのです。

のぼせと冷えは、一見すると相反する症状に見えますが、じつは同じ原因から生じています。血の巡りが悪くなり体温調節がうまくできず、局所的なバランスが崩れることで起こるのです。

具体的には、頭はのぼせる一方で、足先や指先の末端が冷えるようになります。これも自律神経がカギを握ります。自律神経は本来、体温などを一定に保とうと働くのですが、そのコントロールがうまくいかなくなります。そのため、急にカーッと熱くなって大量に汗をかいたと思ったら、急に冷え込んでゾクゾクすることも起こりがちです。