更年期とは閉経の前後5年をはさんだ、計10年の期間のこと指します。女性ホルモンのアップダウンから心身にさまざまな変化が訪れる更年期を、できるだけ明るく乗りきるためには? 女性のヘルスケアや更年期に詳しい産婦人科医の粒来 拓(つぶらい・たく)先生に、更年期の基本知識と、知っておくと気持ちがラクになることについて伺いました。
すべての画像を見る(全5枚)閉経はだれもがとおる道。年齢の個人差も大きい
閉経の年齢には個人差があります。正常とされる閉経年齢は、早い方で45歳、遅い方は55歳、つまり、ひとくちに閉経と言っても、個人差として10年の開きがあるのです。
そして、あくまでも定義上の話ですが、更年期とは閉経をはさんで前後5年間の期間。たとえば45歳で閉経した人は40歳から、55歳で閉経した人は60歳になっても更年期といえます。つまり、40歳から60歳までの多くの人が更年期の只中、と考えることもできますよね。
同世代の多くの女性が更年期に直面していて、「不安に感じているのは自分だけじゃない」と思えると、少しは気がラクになるかもしれません。
「更年期症状」と「更年期障害」の違いとは?
ここで言葉の整理をしましょう。まず、「更年期」とは閉経前後の期間のことで、だれもがとおる道です。
そして、「更年期症状」は更年期に起こるさまざまな身体症状、精神症状、婦人科症状のことです。多かれ少なかれほぼ全員、なにかしら症状が出ます。その症状は、ホットフラッシュ、頭痛、めまい、関節痛、冷え、不眠、腰痛、イライラ、憂うつ感、集中力の低下など、じつにさまざまです。そのなかでも、日常生活が立ち行かなくなるほどつらい症状を「更年期障害」といいます。
じつは、「更年期障害」は直接的に調べる検査はこれといったものがなく、「除外診断」(ある病気を疑った際に、その病気と似た症状をもつほかの病気の可能性をひとつずつ検査で確認し、除外していく診断方法)になります。更年期症状の背景に困った病気がないことがわかったら「今のあなたは更年期に該当するので、この不調は更年期障害と考えられますね」と診断するわけです。