年を重ねるとともに、どんな服を着るのが正解なのか、悩むことはありませんか? ライフステージの変化や環境によって、その答えは人それぞれ。とはいえアメリカ・シアトルに住み約20年、子育てに奮闘するライターのNorikoさんも、渡米当初は同じ悩みを抱えていたそうです。しかし、現地の暮らしを通じて彼女の意識は大きく変わったそうです。今回はNorikoさんに、アメリカでのファッション事情をテーマに現地からレポートしてもらいます。 

街並み
アメリカ西海岸ファッションは日本とどう違う?
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アメリカ西海岸のリアルなファッション

中学に入った頃からティーン向けのファッション誌を読み始めた私。おしゃれへの関心は人並みにあるつもりです。でも、アメリカ西海岸での暮らしが長くなるにつれ、だんだんと意識に変化が出てきたように思います。

まず、ここアメリカ西海岸では、日本はもとより、東海岸などアメリカの他地域と比べても、かなりの服装の違いが見られます。

たとえば、ビジネス街にスーツ姿のビジネスパーソンは数えるほどしか歩いていません。
メンズはジャケットなしでコットンのドレスシャツとパンツの組み合わせ、レディースもオフィスカジュアルが基本。IT企業ともなれば言わずもがな、ジーンズ率高めの印象です。

ここでの服装は季節によって変わるどころか、夏でもニットだったり、冬でもノースリーブだったり。年間を通じて温暖な気候ですし、いったん屋内に入れば空調で一定の温度に保たれていますので、日本のような「衣替え」という発想自体がないのかもしれません。

とくにドア・ツー・ドアの車通勤者であれば、外が暑かろうが寒かろうがあまり関係ないため、日々の気温の変化が服装に大きく影響することもなさそうです。

一度も袖をとおすことなく処分した意外な洋服

ジーンズ

郷に入っては郷に従え、ということで、渡米間もなく「不要」と判断したのは、日本から持ち込んだスーツ類と冬物コート。アメリカ西海岸では一度も袖をとおすことなく、処分と相成りました。

「それなりに高かったんだけどな…」と、もったいないような気がしたのも事実ですが、それらがなくなると、クローゼットのスペースが大幅にあくばかりか、ドライクリーニングを利用する機会も減ることに。少なくともクリーニング代の節約になる、と心を落ち着かせました。

その後のクローゼットに収まったのは、人生初のジーンズ、そして、雨がよく降るシアトルで出番の多いフードつきのレインコート。振り返れば、それが日本人的なきれいめコーデから、アメリカ西海岸流のカジュアルコーデにきり替わっていく節目だったかもしれません。

服装が変わると、合わせる靴も変わります。やがて、日本から持ち込んだレザーソールが宝の持ち腐れに。再び「それなりに高かったんだけどな…」が頭をもたげてくるものの、使わないものは使わない。次第に雨に強いラバーソールが取って代わることに。スニーカーを普段履くようになったのも、アメリカ西海岸で暮らし始めてからです。

カジュアルコーデでつくるレイヤードスタイルは、1年じゅう着まわしが可能だと気づいてからは、衣替えでいちいちクローゼットの服を入れ替えることもなくなりました。その分、服の総量も減っていきました。