4:得した気分がムダづかいを呼ぶ

まとめ買いでものを安く買えると、得をした気分になります。自分のことを買い物上手だと思うかもしれません。しかし、この「得をした」「節約できた」という感情が、別の買い物を生むことがしばしばあります。「ちょっとお金が浮いたから、ついでにこれも買っておこう」と予定外のものを買ってしまうことはないでしょうか?

人間には、「いいことをしたから、少しくらいはいいだろう」と、ほかのところで、するべきではないことをするのを許してしまう心理があるように思います。

まとめ買いをするときは、つい「安く買える」という点だけに意識が向いていて、なににどれだけお金を使ったか、しっかり使いきったか、そして総合的にいくらお金が節約できたかまでを計算する人はそんなにいません。

まとめ買いで数百円浮いたと思って、必要でもない雑貨やお菓子を買ってしまったら、差し引きゼロ、あるいはマイナスになることすらあります。

5:いくら買っても、不安は消えない

まとめ買いをするいちばんの理由は、安いときに買っておき、ムダな出費を最小限に抑えたいからだと思います。さらに、備蓄がたくさんあれば、災害や値上げ、買い忘れなどへの不安を減らせると考えることも多いでしょう。

結局のところ、多くの人が未来への漠然とした不安を軽減するためにまとめ買いをしているのかもしれません。しかし、こうした不安は、どれだけものをストックしてもなくなりません。不安は不確かな未来のせいで起きており、この状況はいくら準備してもなくならないからです。

ものをたくさんもっていることで得られるのは、一時的な安心にすぎません。ストックが減っていくたびに「そろそろ買わなきゃ」と心がざわつくようになり、頭の片隅で常に在庫のことが気になってしまう。そんな悪循環に陥ることさえあります。

なにをどれだけ準備しても、未来がどうなるかはわかりません。完璧に備えようとするより、不確実な未来とうまく生きていく方が重要だと私は考えています。

まとめ買いが必ずしも得ではない理由を5つ紹介しました。まとめ買いには節約というイメージがありますが、それが本当に自分に合った方法かどうか、一度立ち止まって考えてみることも大切です。

買いすぎず、抱えすぎず、身軽に暮らす。そんな選択が、50代からの生活をよりシンプルにしてくれるのではないでしょうか?