さまざまなメディアで、精力的にレシピの発信を続ける料理家の長谷川あかりさん。シンプルなのにおしゃれで、しかも滋味深い家庭料理の数々が、同世代の女性読者を中心に支持を集めています。今回は、長谷川さんにSNSで話題になっていることや、ご自身の「偏愛食材」のレシピを通じて伝えたいメッセージについて伺いました。

長谷川あかりさんと、「大葉まみれパスタ」
長谷川あかりさんと、「大葉まみれパスタ」
すべての画像を見る(全5枚)

子役時代の経験が大きな糧になっている

――子役として芸能界で活動した時代を経て、今は料理家として活躍されている長谷川さん。X(旧Twitter)では、「料理家の長谷川あかりさんって、『天才てれびくん』に出演していた、あの長谷川あかりだったの!?」というような投稿もよく目にし、先日はご自身でも「同一人物」ですと投稿されてましたよね。長谷川さんは現在の状況をどのように受け止めていますか?

長谷川あかりさん(以下、長谷川):もちろん料理家として活動を続けていれば、どこかのタイミングで「あれ? あのときの…?」と思い出していただけることもあるだろうと考えていましたし、実際、それをひとつの目標としていた面もあります。

大人になって、そして料理家になった長谷川あかりとして、子どもの頃に番組を見てくださっていた方と再会できたらうれしいなあという、そんな思いがずっと心のどこかにありました。

とはいえ、実際にSNSなどでそうした反応を目にすると、やはり驚きますし、正直少し照れくささもありますね(笑)。ただそれ以上にありがたい気持ちが大きいです。

子どもの頃にテレビ番組に出演していた経験は、「人からどう見られるか」という意識を早い段階でもつきっかけになりましたし、現在の仕事において、自分の言葉やレシピをどう伝えるか、どのように見せるかを考えるうえで、経験が大きな糧になっていると感じています。

――SNSで発信するうえでなにか気をつけていることはあるのでしょうか?

長谷川:発信する際には、「この料理はだれのために存在するものなのか」を明確にすること、そして「一方的な発信にならないようにすること」の2点をとくに意識しています。

レシピを丸ごと参考にしてくれる方もいれば、「この組み合わせ、家でも試してみたい」という気づきのヒントとしてレシピを活用してくれる方もいる。それでいいというか。

「最近、食生活がおろそかになっていたかもしれない」と振り返るきっかけになるだけでも、レシピの価値があると思うんです。私自身の考え方に共感したり、逆に違和感を覚える方もいたり…そうした多様な受け取り方が生まれる余白を残しておくことを意識していますね。自分らしさや言葉の温度感を保つことも、同じくらい大切にしています。