4:遊び心とユーモアの力
すべての画像を見る(全7枚)停電の真っ最中に街中行われたテレビのインタビュー。その回答は、年齢に関わらず、遊び心とユーモアが忘れられていませんでした。
ある年配男性は、「電気? 太陽があるでしょ」「心配? ビールが冷えないことかな」。通勤姿の男性は、「今日は最高だね! いつもの僕はなにかに追われている」。ゲームをしていた子どもたちは、「明日も停電かも? こんな楽しくていいの?」。
不安のなかでも、だれ1人焦らず、愚痴もでず、「きっとどうにかなる」という精神に、社会全体の底力を見たような気もしました。
5:ポジティブな転換の力
スペインは日常でも、信号待ちの人が流れる音楽に合わせてステップを踏み出したり、スーパーのレジが長蛇の列でも笑いが起こったり、緊張や不安をほぐしていく姿勢がとても印象的です。
なにか問題が起きたとき、「だれかのせい」「どうしてこんなことに」ではなく、「今この瞬間をどう楽しむか」に意識をきり替える。
それはポジティブというよりも、人生そのものに向き合う力強さにも感じ、心底感動できる一幕でもあります。
非日常のなかで知った、スペイン人の国民性
夜8時30分頃、電気が戻った瞬間に街中から拍手が沸き起こり、「おかえり光!」とだれかが叫び、笑い声までこだましました。一方、その場にいた多くの人が、どこか名残惜しそうな顔も…。
光のないなかで交わした会話、ユーモアが生まれた人のつながり、そして頭のなかに広がったWi-Fiに追われない静けさ。それは“ない”からこそ気づけた豊かさだったかもしれません。
この半日、スマホからもパソコンからもきり離された時間に、私が学んだのは、「不便さ」や「混乱」を笑いに変える国民性の強さでした。
日常が止まっても、リズムと感情は止まらない。電気は奪われても、踊りと笑いはだれにも奪えない。そんなスペイン人のあり方は、どんなガイドブックにも書かれていない、生きる力そのもの。光のないこの時間が、私の心にいちばんの光をくれました。
なお、この災害により被害を受けられた方々もおられました。ご快復を心よりお祈り申し上げます。本記事では、ポジティブな側面を中心に綴らせていただきましたこと、どうぞご了承ください。