今年に入り、60代で初めてのひとり暮らしをスタートさせた中道あんさん。60代をアクティブに楽しく過ごすために意識している考え方について語ってもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)60代、これからが「新しいスタート」
ひとり暮らしをはじめて2か月が経ちました。毎日がとても楽しいです。大きな窓から差し込む陽の光を感じながらベッドで覚ますと、横でシニアになった愛犬がスースーと寝息をたてて寝そべっている。今日も楽しい一日が始まると思うだけで幸福に包まれます。
昔の60代というと「老後」をイメージするものでしたが、今の60代はまだまだアクティブです。先日、6歳の孫と公園のジャングルジムで追いかけごっこをして遊んでいると、子育て現役時代より楽しく遊んでいる自分に気づきました。
あのときは、義務感から「遊んであげなきゃ」と思っていましたが、今は純粋に今を楽しんでいる。これは、50代で自分にとって重要でないこと、価値観に合わないことをどんどん手放していき身軽に生きられるようになったからです。
これからの人生を「終わり」ではなく「新しいスタート」として30年間住み慣れた家を出て、見知らぬ街へ引越し、ひとり暮らしを始めました。ほんとうにいい選択をしたと思います。
50年、60年も生きていれば、人生の半分以上が経ったと認めざるを得ません。あと数十年もすればほぼ間違いなくこの世に存在していません。そして、いつかその存在すら忘れ去られる日がくるのです。
先日、大切な友人を60歳手前で亡くしました。あと、もう数か月で還暦だったのに、しばらくなにも手につかず、心はここにあらず、けれど目の前は昨日となんら変わらない日常が流れていくのです。人に夢と書いて「はかない」と読みます。人の一生はなんて儚いものかと思いました。人生は夢のように短く不確かなものかもしれません。だからこそ、「人生の半分も過ぎたのなら楽しく生きるべきなんじゃないの?」と思ってしまいます。
今こそやってみたかったことを実現するチャンス
50代に入ると子どもが巣立っていき、自分の時間が増える人も多いでしょう。そうなれば、やってみたかったことを実現するチャンスともいえます。私の場合、50代になって、トゥシューズを履いてバレエストレッチに挑戦しました。子ども頃バレエを習いたかったことを思い出して、マネごとをしてみたくなったのです。ただ、私には難しくて途中で断念しちゃいました。けれど、どれはそれでいいんです。やりたかったのにやれていないという、満たされない感情は消えてなくなりましたから。
その代わり、ふと誘われて始めたピラティスは5年も続いています。この「ふと」思ったことや、出会いに躊躇せず乗っかることで未来が開けていくこともあります。さらにいいことは、「まずは、やってみる! 失敗してもいい」と、小さな一歩を踏み出せれば、成功体験を積み上げられます。
それが、本当にやってみたいことが現れたときに、一歩踏み出せる勇気になります。この勇気のもとは、小さな成功体験を積んでいった先にある「私にもできるかも」という自己効力感です。なので、60代から新しいことに挑戦したいのであれば、今すぐ人生を楽しい選択で埋めることです。