ペットの柴犬の写真をX(旧Twitter)に投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第79回は「お留守番をする犬の様子」について。

青空の中の犬
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離れていても、記憶の中に家族はいる

前回は書く余裕がなかったが、抜歯手術の数日前に久し振りに妹が帰省していた。妹は上海に住み始めた。犬は久しく会えていなかった妹をこれまでと変わらず喜んで迎え入れた。離れていても犬の記憶に妹はいた、忘れない。

世界じゅうに家族との再会を喜ぶ犬はたくさんいて、なにも特別すごいことでもなく、もしかしたら根拠が示されているのかもしれないが、けれど私は美しいミステリーを感じずにはいられず、2人の再会にふれるたびに切なくなる。

花を探す犬

妹の自室は現在私が使っているので、妹は居間に布団を敷いて寝てくれている。襖(ふすま)で隔たれてはいるが、犬のそばで寝る。以前から妹と犬が互いの寝息が聞こえる距離で就寝するのにほのかな安心を覚えたが、抜歯手術後はより心強く助けられた。

犬の雪だるま

2月中旬、妹が上海に戻る際に両親が一緒に行くことになった。なんと上海に着いた翌日には妹に見送られ和歌山に帰宅という1泊2日のスケジュール。

私もやし、親戚も、ご近所さんですら「もう少しゆっくりしておいでよ」と言ったが「まぁ、じゃ次そうしよかな」と母は笑った。観光が目的ではなく妹が住んでいる場所を目で見られたら十分らしかった。

隅っこの犬
お水を注いでくれてありがとう

出発の朝は早く、外は真っ暗闇だったが、妹が準備をする物音と、いつもとは違う雰囲気に、私が起きたときには犬は目を覚ましていた。

お見送りをする犬

妹が引くキャリーケースに犬が軽く威嚇(いかく)。犬と一緒に、3人を見送った。行ってらっしゃい。

お昼寝する犬

私と兄がいても、3人もいなくなったらさすがに寂しくなるのだろうか。朝早かったのと、そのあとしっかりめの散歩をしたからか、日中ずいぶんと昼寝をした。

ご飯をたべる犬

夕方の散歩にも行き、晩ごはんを食べて、しばらくゆっくりしていたら三人の不在を実感してきたのか、ほんの少し表情が翳(かげ)る。

表情が翳る犬

一体、犬はどんな気持ちでいるのだろう。言うてほしい、本音が聞きたい。

大きなあくびをする犬

「明日になったら帰ってくるで」と寝かしつけていると、大きなあくびをして寝入った。

寝る犬

両親が帰宅する2日目の夕方、坂道をのぼる犬のおしりを追いかけたときに空の青さに気づけた。

青い空の中の犬後ろから

この日、海の向こうで、母は犬を思い浮かべていた。上海の街中でも犬を見かけたら今頃犬はどうしてるかなぁとやっぱり考えてまうわ、とのちに母が言っていた。横幅が犬の3倍大きい柴犬を見たんやって。

犬のしっぽにつく芝

19時に両親から空港に着いたと連絡が入る。どうやら犬にとって夜はみんなが家に帰ってくるという認識なのか、寂しさが押し寄せるのか、やはり外を気にする。

振り向く犬

「もう帰ってくるで」と声をかけたら振り向いた。

よく寝る犬

安心したのかなんなのか待ち構えるのをやめると、だらんと横になって寝息をたてはじめた。今年11歳になる犬は1日の睡眠時間が増えた。