今の子どもたちが大人になったとき、日本の「食」はいったいどうなっているのでしょうか? そんな「食」の未来について考えるきっかけとなる消費者参加型イベント「値段のないスーパーマーケット」が、丸の内にて期間限定で開店。そのオープニングイベントに、ESSEonline編集部員が実際に来店体験してきました。詳しくレポートします。
日本の“食”の未来を考える「フェアプライスプロジェクト」って?
2月20日から2月23日にかけて丸の内で開催された「値段のないスーパーマーケット」。
このイベントは農林水産省が推進している「フェアプライスプロジェクト」の一環。食品が生産者から消費者の手元に届くまでのコストや、食を取り巻く現状について学べます。店内に並ぶ食品の価格を自分で考え、購入することができる特別な期間限定スーパーマーケットでした!
開店セレモニーでは伊沢拓司さんも登壇
開店セレモニーでは、クイズ王としてもおなじみのタレントの伊沢拓司さん、農業全般に精通している専門家である三輪泰史さん、道の駅「みのりの郷東金」で企画広報を担当されている土濃塚雅代さんがゲストとして登場。
伊沢さんが「価格のないスーパーマーケット」で取り扱われている牛乳や豆腐、納豆といった食品にまつわるクイズや、食品の値付け体験に挑戦。饒舌に語りながらクイズに回答する様子は、まるでクイズ番組さながら!
そして、農業の現場や流通に詳しい三輪さん、農家に近い販売店ともいえる道の駅を運営する土濃塚さんが、クイズの解答とあわせて、日本の農業の現状をわかりやすく解説してくれました。
お話を聞くなかで、これまで意識したことのなかった「食料の値段がどうやって決められているのか」という点について、考えることの大切さを感じました。
「値段のないスーパー」で日本の食にまつわる状況を知る
開店セレモニーのあとは、イベント会場内に設営されたスーパーマーケットに入店。
野菜や牛乳、豆腐といった食品が並ぶ様子は通常のスーパーと変わらないけれど、よく見るとすべての商品に値札がついていません。商品棚の周りにある説明のパネルや映像を見ながら、来場者は自分で値段を考え、その値段で購入することができます。
野菜売り場で考える、ニンジンの「フェアな値段」
まずは、野菜売り場から。立派なニンジンが2~3本でひと袋になって売られていました。
ニンジンの棚の上にあるパネルには「肥料の価格は4年で1.4倍に」「直近数年で農薬の価格が約13%上昇」「3年で燃料などの光熱動力費が約27%増加」といった説明があります。これをヒントに、売り手にとっても買い手にとっても「フェア」な価格を考えます。
牛乳や豆腐の作り手の厳しい現状も見えてくる
続いて、牛乳売り場へ。こちらで売られていたのは「道の駅 みのりの郷東金」で取り扱っている牛乳でした。
こちらにもパネルがあり、「酪農家の約6割は赤字経営」「酪農家の約半数は離農を考えている」などの説明がされていました。
牛乳といえば、常備してある家庭も多いのではないでしょうか? いつも当たり前に買っている食品ですが、じつは酪農家の人たちは「赤字経営」が多いという事実を知り、衝撃を受けました。
豆腐売り場では、「豆腐事業者が10年で約半数に」という内容のパネルもありました。酪農家の話も豆腐事業者の話も、このイベントに行かなければ知らずにいたことだったので、貴重な情報でした。
会計時に自分の値ごろ感が実感できる
お会計はタッチパネル式。「売り手、買い手、作り手、みんなにとってフェアだと思う値段を入力してください」という案内に沿って自分が考えた値段を入力し、お金を払います。
会計後は、レシートに平均的な小売価格や実際の販売価格が記載されるので、自分が設定した値段との差も知ることができます。
日常の買い物を考えるきっかけに
食費が家計に与える影響は大きいものですが、食材がなぜその価格になっているのかを考えたことはありませんでした。
今回のイベントを通じて、日常の買い物が生産者にどのような影響を与えているかを再認識。商品が店頭に並ぶまでの労力やコストについて理解を深めることの大切さを実感できました。
持続可能な食料供給の実現に向けて、私たちにできることを考えてみませんか?
問い合わせ:フェアプライスプロジェクト事務局