日常にもおしゃれを取り入れるのがパリのマダムたち。20代からパンツスタイルを好んでいるという86歳のパリ在住デザイナー、弓・シャローさんの、カジュアルだけれど地味にならない「おしゃれカジュアル」をつくり出すコツに迫ります。

弓・シャローさんのパンツスタイル
小物で華やぎを添えるパンツスタイル
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パンツスタイルには、小物を思いっきり盛ります

世の中がどんどんカジュアル化していることを感じます。おしゃれの世界では、とくにそんな気がしています。

48歳から10年間、『東京ブラウス』というメーカーで「カランドリエ」という自分のデザインブランドをもっていたのですが、じつはそこで私が目指していたのが「おしゃれカジュアル」でした。

日常にもちょっとしたお出掛けにも着ていくことができる洋服。カジュアルだけれど、洗練されていて、今どきの言葉でいうなら、「こなれた感じのカジュアル」。そんな装いが昔からずっと好きです。

時代もですが、今の私はもう、年齢的にもかしこまったパーティやイベントに出席する機会はほとんどありません。ですから、よけいにカジュアルでおしゃれを楽しみたいと思っています。

軽いバッグ
70代からは軽いバッグがいちばん!

30歳前にパリに着いて、立ち合ったデザインの現場で、モデルさんたちの8頭身ですらりと伸びた手足に衝撃を受けました。

そして、こういう体形があるからこそ、スカートやワンピースは映えるのだと思い知りました。そして、身長152cm、体重44kgの私には、すてきに着こなすことはできないとすっぱり諦めました。せめて、あと10cm、いえ15cm身長があれば、着る服も変わっていたのにと思ったものです。

以来、スカートやワンピースは1枚も持っていません。スーツも、です。

ボトムスはストレッチの効いた黒いパンツが基本で、あとはジーンズ。ジーンズもストレッチの効いたスリムかストレートで、丈はくるぶしまでの長さ。色はインディゴブルーかそれよりも少し薄いブルー。あとは黒と白を2本ずつ。やはりストレッチ素材のスリムです。

日本人ならではの装いも

トップスは春夏ならコットンや麻、シルクのTシャツかシャツ、秋冬はウールやアクリル混紡のセーターを着ます。ちなみに、私は半袖やノースリーブが苦手で、真夏でも長袖か七分袖のものを着ています。たぶんに感覚的なことなのですが、私、半袖から腕がのぞくのが好きではなくて。

二の腕がたるんできたのに加えて、典型的な日本人体形なので手足が短くて、それが中途半端に出るのが美しくない気がして苦手なのです。日本の最近の夏の猛暑では、長袖はとても耐えられないと思うのですが、パリの気候なら、十分過ごせるのがありがたい!

トップスの色も好みがはっきりしていて、黒、白、ベージュ、カーキ、グレー、ブルー系、グリーンの7色くらい、いずれも好きで、ボトムスの黒やジーンズの色と相性がいい色です。

出掛けるときは、シンプルなジャケットかブルゾンを合わせます。襟なしか小さな襟で、ヒップが隠れる丈のシンプルなものが重宝しています。

寒い季節なら、膝より少し長い丈のコートを羽織ります。前をあけて着ても、ベルトをしてもいい、襟元もグルグル巻き物をしても邪魔にならないように、コートも襟なしか小さな襟が私の好きな形です。