心地よい暮らしをかなえるなら、ときめくものだけを厳選して家においておきたい。ここでは、パリで夫と暮らす日本人デザイナーの弓・シャローさんが、「使いやすくて動きやすいキッチン」をつくるために心がけている“ものの持ち方”を紹介します。
すべての画像を見る(全3枚)料理の手際があがるキッチン。ものを増やさない工夫
とてもシンプルでコンパクト、そしてものが少ないキッチンだと思います。キッチンは、基本的に家族以外のだれかがそうそう入ってくる場所ではありません。自分が便利で使いやすく、スムーズに安全に動けることを考えたらこうなりました。毎日毎食キッチンに立ちますが、時間としては、あまり長くはありません。
せっかちなので、ぱっぱと手際よくおいしくつくることをモットーにしていることは昔も今も変わりありません。
また、キッチンの道具類は、ひとつ新しいものを買ったらひとつ処分することにしていて、持ち数を増やさないのも変わりありません。
調理器具について
調理器具ですが、最小限のものしか持たない主義です。お気に入りの包丁とまな板、菜箸、木べらという昔からのメンバーに、昔の「東急ハンズ」で買ったピーラーがあれば、たいていのことはできます。
いずれも28歳でフランスに来たとき以来使っているので、58年の年季ものですが、使いやすくて手放せません。ピーラーのかわりに薬味おろしを加えた5点は、ヴァンの旅やキッチンつきホテルの滞在にも持参します。
そのほかに持っているものといえば、ボウルやザル、フライ返しとお玉など一般的なものでしょうか。
ここ数年で増えたものは、「グローバル」の包丁と、材料を切ったらそのまま鍋の上に運んで投入できるプラスチックのまな板と、キッチンばさみ。
切れ味抜群の包丁は、日本の友人から、色違いのプラスチックまな板は、アメリカの友人からのプレゼントです。まな板は軽くて食材に合わせてどんどん切っていけますし、すぐに洗えて乾きも早いので、重宝しています。
キッチンばさみは鶏肉の皮を切り取ったり、ひと口大に切ったりするのに使います。庭のハーブを料理に合わせて切るのにも便利で、包丁より断然早い!
鍋やフライパンについて
鍋やフライパンの持ち数も少ないと思います。
鍋類は全部で4つ。すべてステンレスの片手鍋。直径21cmの深鍋に直径18cmが2つ。1つは厚手で炒め物にも便利です。あとは、10cmくらいの小さめのものです。フライパンは3つで、すべてフッ素樹脂加工のもの。直径27cmの大きいものと、直径23cmの小さいもの、中くらいで深さのある25cmのものです。すべて軽くて使いやすいもの。
これらの鍋やフライパンは、すべてスーパーマーケットで買えるお手ごろ価格のものです。「ティファール」なども、こちらでは日本円で1600円くらいなので、そろえて買います。
というのも、私はあまり神経質に磨かずに、割り切って1、2年ですべて買い替えているからです。ゴシゴシする力もだんだんなくなってくるので。
テフロン加工にしても、使っているうちに、加工がとれて油が必要になってきますし、高価なものを長く大切に使うよりも、手ごろなものでいつもきれいな状態で使っていたいと考えています。