私たちの生活にすっかり欠かせなくなったスマートフォンやパソコン。多い人だと日がな一日向き合っていることもあるかもしれません。昨今、耳にするようになった「デジタルデトックス」について、作家・作詞家の高橋久美子さんが思ったことをつづってくれました。

暮らしっく
高橋久美子さん
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日頃からデジタル漬けの私たち

「デジタルデトックス」という言葉をよく耳にするようになった。休肝日さながら、スマホとかパソコンを見ない日ということですね。実践している人はどのくらいいるんだろう。

いつでも連絡がつくというのが当然の世界になって、久しい。私は曜日感覚のない仕事なので、ついつい土日でも編集さんに仕事のメールを送ってしまい、「しまった、今日は日曜じゃないか!」と後で反省する。そうなれば返事をくれるのが編集さん…。家族と出かけていたかもしれんのに、悪いことをしたなあと思う。今の社会は、そういう少しずつの無理の上に成り立ってしまっているのかもしれない。便利になったけど、スピードが上がった分、仕事量は増えたという友人も多い。

体は休めても脳みそは情報の渦に巻かれてずっと稼働し続ける毎日。電車に乗れば、みんなスマホに目を落として、それぞれの世界に浸っている。客観的に見れば、けっこう異様な空間よ。とかいう私もついついLINEの返信なんかをしてしまう。

整体院に行くと、百発百中で「頭カチカチですねえ」と言われる。これは、私だけでなく、大体の人がそうらしい。さらに瞬きの回数が減っているためドライアイの人も急増しているのだそうだ。

「スマホを置いて、ぼーっとする時間取ってくださいね」

と言われる。

デジタルから離れられる唯一の時間

畑
畑の様子

デジタルな物を完全に忘れている時間。ある。あります。畑にいる時間だ。今、愛媛と東京を行ったり来たりする生活をしていて、愛媛では畑にいることが多い。畑での緊急用に一応スマホはポーチに入れて持っている。鎌とか、ときには竹や木を燃やしたりもするからねえ。ときどき、畑焼きから火事になることもあるのだよ。

でも、土に触っている時間は基本スマホを見ない。農作業のあとは、体はくたくたでも頭はすっきりしていて、3秒で眠れる。あと、東京にいるときより少し視界がクリアに見えるようになっている。遠くを見ている時間が増えるからだろう。

一日パソコンで仕事したあとは、ピントが合いにくい。「40代になったらまず目がやばいよ」ってみんな言ってたけど、実感します。体は消耗品だから大事にしないとなあ。