いつの間にか抱いた、親心のような…なんとも言えない心情
すべての画像を見る(全3枚)これを執筆している今は劇団ヘロヘロQカムパニー略してヘロQの新人公演、真っ最中。本公演では裏方から小道具に衣装にと寝る間を惜しんで駆けずり回ってくれてる若手のみんな。彼ら彼女らが支えてくれてるからこそ劇団活動、かれこれ約30年を続けてこれております。感謝、感謝です。
そんなみんなをメインキャストとしたお芝居は、全力全開のやる気にあふれて新鮮フレッシュ(…とまでは行かないお歳の子たちも多いですが)。バタバタしつつも和気あいあいでいい雰囲気の稽古場で過ごしております。
1日じゅうお稽古場にこもっていますと、それなりのドラマが生まれるもんです。
お芝居がかみ合った瞬間、頭の中の画と目の前が一致したときのトキメキ、心が沸き立つような楽しい瞬間もあれば、まったくアイデアが浮かばず悶々とときだけが過ぎていき、こちらの意図もうまく伝えられず稽古場がピリピリとしていくことも。
時代も変わり、僕も歳をとり、精神面もだいぶ成長しましたから、昔に比べたらそれはそれは丸く優しく甘々になったと思います。
熱が入りすぎて論議を交わすことはありますが、怒号が飛び交うことはなくなりました。なんだかぬるま湯につかってるように感じることもあり、そういう時代かな~とこの穏やかさを寂しく感じることもありますが…。やっぱり身も心も平穏なのは大切なことですよね。
のびのびと楽しみながら芝居をしてくれた方が、観てる方も楽しめるものですから。それにいつの間にか、親心のような、なんとも言えない心情を若手達に抱くようにもなりまして。
若い頃の自分が知ったら驚く「自身の変化」
ともに劇団を立ち上げた同世代の劇団員は“仲間"であり“同志"でしたが、今は世代交代もありましたから、若いみんなを温かく見守りたいし、成長に喜びを感じてウルっとすることも、ときには過保護なくらいに心配にもなってしまい呆れられてしまう程です。
…まぁ、実際、新人の子のお父さんは僕と同じ歳らしいですからね。わが子のようなものですが、それを聞いたときのなんともいえない気持ちをどう表現していいものか…。公演初日、出演するわけでもないのに驚く程に緊張する自分がおりました。
あぁ、この子たちは大丈夫だろうか…満足いくお芝居をできるかしら、どうか無事に最後まで走りきってほしい、いや、もう完成度や出来栄えよりもケガなく終えれたらそれで充分か、と妙にソワソワして劇場をうろうろと歩き回ってしまったり。
こんな心境、若かりし頃の僕が知ったら驚くだろうなぁ。
こうして、試行錯誤しながらもでき上がっていく舞台。そしてなにより、お客さまの反応があって初めて完成します。観客の皆さまも出演者のひとりですからね。
つくり手の僕たちも、劇場に足を運んでくださる、皆さんも『楽しい』があってこその『エンターテインメント』。
日常の難しいあんなことやこんなことは一旦置いといて、年末の慌しさも忘れて、ぜひぜひ劇場へ遊びに来てみませんか? 来年は本公演もありますから、全力の「エンターテインメント」をご用意してお待ちしております。
☆今月の関智通信☆
ちなみに、そんな僕の年内ラストお芝居は、井上和彦50周年記念公演、kazz.s「エニグマ変奏曲」であります。2024年12月27日(金)~29日(日)大阪・近鉄アート館にて! がんばります!