高齢者を標的とした詐欺や悪徳商法被害のニュースが続いています。さまざまなメディアで報じられていますが、「自分が詐欺に遭うはずがない」「自分はだまされない自信がある」と思っている高齢者ほど被害者になってしまうのが、この種の犯罪の特徴です。ここでは、実際にどのような手口があるのかを、『おひとりさま[老後生活]安心便利帳 2025年版』(扶桑社)を監修した服部万里子先生(NPO法人渋谷介護サポートセンター理事長)の解説とともに見ていきましょう。
※この記事は、扶桑社ムック『おひとりさま[老後生活]安心便利帳』より一部を抜粋し、再編集しています
すべての画像を見る(全4枚)高齢の親と離れて暮らすときに知っておきたいこと
高齢の親と離れて暮らしている人にとっては、高齢者を狙った犯罪が報道されるたびに、「自分の親は大丈夫?」と心配になってしまいます。とくに、こうした犯罪は高齢者の孤独感につけ込むような手口が多いので、ひとり暮らしの親がいる人は親に気をつけさたいところです。
こうした犯罪に巻き込まれないためには、悪徳商法の手口をチェックし、常に対策しておかなければなりません。
ここまで巧妙なものまで…。悪徳商法の手口はこんなにあった!
悪徳商法のなかでも、昔からあるのが「訪問販売」です。販売員がいきなり家に訪ねてきて、高額な商品やサービスを売りつけたり契約を迫ったりするものです。健康食品や貴金属、羽毛布団などが代表例で、“クーリングオフ”を使えないように契約書を偽造するケースもあります。
近年増えているのが「点検商法」と呼ばれる悪徳商法です。家の点検を口実に業者のふりをして家にやってきて、不必要なリフォーム工事や商品交換、駆除作業などを契約させるものです。たとえば、「土台の木が腐っている」とか「屋根が壊れている」「シロアリが巣食っている」などと、あたかも緊急的な危険があることを話し、不安をあおるわけです。
また、「催眠商法」と呼ばれるものもあります。これは、ある場所に人を集めて、日用品などを格安で売ったり、無料で配布したりして会場を盛り上げ、参加者が冷静さを失ったところで、高額な商品を売りつけるというものです。また、販売員が親切な態度で接して高齢者の心理に巧みに入り込んで信頼関係を築いたうえで、不必要な商品を売りつけるというケースもあります。ある意味、“洗脳”に近いやり方ですね。場合によっては、密室状態に置かれ、契約するまで帰してもらえないこともあります。
ほかにも、公的機関や金融機関などの関係者であるかのように思わせて契約させる「かたり商法」、注文していない商品を送りつけて代金を支払わせる「送りつけ商法(ネガティブ・オプション)」、身に覚えのないサイトの情報料などの未納を通告してくる「架空請求」、税金や保険料、医療費などの還付の手続きを装い、ATMを操作させて振り込ませる「還付金詐欺」など、手口を挙げていったらキリがありません。加えて、電話での強引なセールスやネット上での嘘の広告にも気をつけなければなりません。
服部先生は、「不安をあおって契約させたり、お得だからとすすめてくるサービスは危険!」と警鐘を鳴らします。心配なときはいつでも近所の地域包括支援センターに相談してみましょう。また、急ぐ場合は警察に連絡しましょう。
みなさんのご両親には、こうした悪徳商法が数々あることを話して、注意を喚起しておきましょう。