“しっかり”していた義母がまさか「認知症」になるとは 

――たしかにそれは思いもよらない出来事ですね。

村井:もともと義母は強烈な人。とてもきれいな人で、ビシッとしていて、とにかく“圧”がすごいので、地元でも有名な人でした。うちの息子たちの入学式の写真なんて、私じゃなくて、なぜか義母が一緒に写っているんですよ。

それこそ勝手に家に入ってきて、合鍵までつくられたことがあるし、いつの間にかかけられたタオルに、達筆な字で義母の名前が書いてあったこともあります。その後、合鍵は取り返しましたけど。

――こちらの都合を考えずに勝手に家にくる義母はイヤですね(笑)。

村井:“過剰な愛”と言いますか、私に対する強い期待、息子に対する愛情、そして孫に対する深い愛っていうのがすごかったんです。だから私は「お義母さん大好き」なんてとても思えなくて、むしろ積極的には関わらないようにしていました。

今考えてみれば、すべて愛情の裏返しだったことはわかりますが、私の実家はカラッとしていて、あんまりベタっとした愛情ではなかったので、やっぱりすごくしんどかったです。

――そんなお義母さんが認知症だとわかって、どう思われましたか?

村井:そんな感じだったので、初めはまさか認知症だとは思いませんでした。でも、あのビールが来たときに「あれ?」ってなって、それで思い返してみたら、ほかにも10回くらい叩いたのかな…? っていうぐらいぶっ潰れたコロッケを持ってきたりしたこともあったんです。だから認知症よりも先に、まずは更年期とかウツとかを疑いました。

でも、義母が認知症だとはっきりわかったときには、それまでの確執みたいなものはもう本当に失せてしまって…。すごくかわいそうだなって思いました。

それまでは家に来られても「しんどい」しかなかったし、本当に会話も少なかった。それが、発覚後、100倍は会話が増えましたね。物理的に声をかけないといけないことが増えたというのもありますが。