デッドスペースが減り、向かい合うドア同士がぶつかる心配もないなど、メリットも多い引き戸。介護リフォームを専門的に行う工務店に勤務するライターは、老後も快適に暮らせるよう、引き戸を多用した家を建てました。実際住んでみて、使い勝手のよさに満足したものの、じつは家づくり時にコンセントの位置で問題が発生。思ってもいなかった事態も起きています。詳しくレポート。
すべての画像を見る(全8枚)新しい家ではバリアフリーを意識して引き戸を多用
筆者は、妻と子ども2人の4人家族。2年前にハウスメーカーで、延床面積35坪の2階建ての家を建てました。
じつは筆者、高齢者向けの介護リフォームを、専門的に行う工務店に勤務しています。その経験も生かし、長く住み続けることができるように、バリアフリーを意識して家づくりを行い、「引き戸」を多用しました。
上の間取り図を見るとわかるように、玄関や勝手口、バルコニーなど外部の出入り口と、子ども部屋以外は、引き戸を採用しています。
外部の出入り口が開き戸になっているのには、理由があります。ハウスメーカーから気密性の問題で、引き戸にできないと言われたからです。また、子ども部屋は、間取りの関係で引き込むスペースがとれず、引き戸にできませんでした。
引き戸を採用した2つの理由
引き戸を多用した理由は2つあります。
1つ目は、引き戸にすることで、年をとってからも過ごしやすい、家づくりが可能だからです。引き戸は、開き戸と比べて開口部が広くとれます。ですから、車イスなどでも出入りがしやすくなります。
また、扉をあける際に上半身を、あまり動かさなくていいので、体が不自由になっても使いやすい扉です。
2つ目は、空間の有効活用です。
上はわが家の寝室です。6.8畳の部屋に、シングルベッド(100×195cm)を3つ並べて置いています。もし、内開きの開き戸だったら、ベッドに扉が当たっていたでしょう。しかし、引き戸にすることで、ベッドを3台置いても不自由なく、扉のあけ閉めができています。
もちろん、外開きの開き戸にしたら、問題ないという指摘があるかと思います。しかし、その場合は、扉同士がぶつかるリスクや、扉をあけた際に廊下を歩いている人にぶつかるリスクがあります。
そのような理由から、わが家では、引き込む壁が取れなかった子ども部屋以外は、すべて引き戸を採用しました。