画廊と美術館での学芸員経験をもち、現在は美術エッセイストとして活躍中の小笠原洋子さん。高齢者向けの3DK団地でひとり暮らしをしています。自らの暮らしを「ケチカロジー」と名づけ、1日1000円をルールにしている節約家の小笠原さんのたまの楽しみとは? 小笠原さんの新刊『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社刊)より、抜粋で紹介します。

小笠原洋子さん
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節約暮らし、調理にはお金をほぼかけない

1日1000円ルールで暮らしている私ですが、暮らしの中でなにを楽しみに生きているかと問われたら、「食事」だと答えます。節約家の私でも、人並みに食の楽しみは大きいものです。

とはいえ、料理下手です。正直に言えば、一般的な料理に関心が向かないのです。

やはり人並みであることへの反発でしょうか。エプロンをして、レシピを見ながら、多種の食材と調理道具を並べ、先に煮たものを揚げたり、ほかの食材と混ぜたり、合わせ調味料やソースをつくったり、分量をしっかり測ったり…、70余年生きて一度もお手本通りに料理をしたことがないのです。もし料理に興味をもったりすれば、料理のためにお金を使うことになり、食材ぞろえに散財するかもしれませんから。

食事

おそらく、私は料理は人につくってもらうものだと思っているのでしょう。しかし、お抱えシェフでも雇えない限り、そういうわけにはいきません。ですから、ほとんど毎食自炊をしてはいますが、自己流で手間のかからない食事になっています。