夏が近づき、薄着の季節を前に、ダイエットを意識する方も多いのではないでしょうか。「やせにくい大人こそ、しっかり食べることがダイエットにつながります」と話すのは、国内最大級のAI食事管理アプリ『あすけん』の管理栄養士・道江美貴子さん。年をとるとやせにくくなる理由と、栄養学的に正しい食べやせ術を教わりました。

食卓に座り「いただきます」をする人物
年を重ねるたび、正しい食べ方を(※画像はイメージです)
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食事をかしこく選べばやせるだけでなく、健康維持にも繋がる

――年齢を重ねると、若い頃に比べてやせにくくなる理由を教えてください。

道江さん(以下・道江):若い頃とは基礎代謝が異なるからです。人間には、生命維持のための必要最小限なエネルギー消費、すなわち基礎代謝が存在します。男女ともに10代半ばがピークと言われ、その後は年々下がっていきます。1日の総エネルギー消費量は、この基礎代謝量に日々の生活活動や運動で消費する分を加えたものになりますが、50代は仕事や家庭での環境変化が起こる時期でもあるため、体を動かす時間や機会も減り、総エネルギー消費量がぐんと下がってきます。

女性の場合は、更年期によるホルモンバランスの変化も起こります。エストロゲンという、筋肉量を保つ作用があるといわれている女性ホルモンの分泌が急激に減少します。分泌が少なくなってくるとともに筋肉量の減少=基礎代謝の低下へとつながっていきます。

にもかかわらず、若いころと同じ量の食事を摂れば、消費されなかったカロリーは、脂肪として蓄積され、体重増加の原因に。人間のメカニズム上、50代は、やせにくくなる時期の入り口なのです。

――どうしても、ダイエット=カロリーを減らす、というイメージをもつ人は多いと思います。道江さんが提唱する「食べてやせる」が効果的なのはなぜでしょうか?

道江:カロリーを減らしたり、糖質を極端に制限したりするダイエットは、確かに一時的には体重が落ちるのですが、その後リバウンドしやすくなる傾向にあります。

カロリーだけに着目するのではなく、食事の中身を見直して、ビタミン・ミネラルが摂れる食事内容にすることで、エネルギー代謝が上がり、ちゃんと食べてもやせることができます。長い目で見ると食事をかしこく選ぶスキルを身に着けるほうが、健康維持にも繋がることから「食べてやせる」を提唱しています。

閉経後にそなえてカルシウム、ビタミンD、マグネシウムを意識

道江美貴子さんの写真
『あすけん』管理栄養士・道江美貴子さん

――とくに大人女性が不足しがちな栄養素や食べ物があれば教えてください。

道江:大人の女性には、たんぱく質のほかに、閉経後にそなえて骨の健康に関わるカルシウム、ビタミンD、マグネシウムを意識してほしいところです。

また、女性に限らず日本人に不足しがちな栄養素は、食物繊維・ビタミンA・ビタミンB群なので、こちらも意識していただきたいです。