伊勢神宮「御垣内参拝」の際の正装で試行錯誤

しゃがむ女性
数年前に訪れた際の服装
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なかなかこの正装、フォーマルの服装がどの程度までが許されるのか、いまだに不安でなりません。男性であればスーツにネクタイというスタイルであれば、ほぼ間違いないのですが、女性の場合はなかなかに幅も広く、スーツといえども、色やデザインによっては不適切なものもあります。しかも目的が、冠婚葬祭ではなく「正式参拝」です。相応しい上品な装いが求められます。

なるべく落ち着いた色や紺色のスーツを着用しスカートの丈も膝が隠れる長さを意識するなど、服装はなんとか毎回クリアするのですが、難題は靴にあります。正装とあるわけですから、靴は黒の革靴が基本となります。

ところがこれが、思いのほか厳しいのは、なんといってもお伊勢参りは旅の途中であること。伊勢神宮を外宮から内宮と歩くには、革靴ではなかなかにつらいものがあります。そこで苦渋の選択としては、御垣内に入る前にどこか場所を探して歩きやすい靴から、革靴に履き替える策が無難であるということに今回ようやく辿り着きました。

加えて御垣内では玉砂利の上を歩くことになりますので、このときのみに使用する革靴を準備するとよいかもしれません。そんな準備に手間取ったとしても、そこに優る体験となるはずです。

お伊勢参りは自分の一年を振り返る機会に

手帳に挟んだ写真
伊勢神宮内にある五十鈴川 御手洗場(いすずがわ みたらし)の写真はいつも手帳に挟んで持ち歩いています

さて、いよいよ参拝となると、伊勢神宮の場合は外宮から始めるのがよいとされています。直接内宮に直行してはいけないということではないと思いますが、入門編などの本を参考にすると、さらには外宮に行く前に、まずは地元の氏神様に「これから行って参ります」とご挨拶してから外宮、内宮の順に向かうことを推奨しています。

冒頭、私は信心深い方ではないと書きましたが、こういう点は意外とこだわる性質なもので、わりと得た情報に忠実に行います。そんな準備を経て外宮に入った瞬間にフッと空気が凛とする感じがたまらなく、よい緊張感を与えてくれるのです。

厳かな空気に包まれて、気持ちも高揚するなか外宮から内宮へ。景色も一転し大きな鳥居と宇治橋に迎えられます。

ちなみにではありますが、知人から教わった伊勢神宮参拝のときのすてきな橋の渡り方をひとつご紹介します。初めて伊勢神宮内宮の宇治橋を渡るときには、生まれてから今日までを振り返りながらゆっくりと渡ること。それを経て次回からは、前回渡った以後に起きた出来事を振り返りながら渡るとよいよ、とのこと。

実際にご利益があるなしはともかくとしても、橋を渡る時間がとても豊かに感じて感謝の気持ちが自然と込み上げてきます。そしてそこから私がいちばん心躍る美しい場所、五十鈴川御手洗場に辿り着き、透き通った水に触れることが年に一度の大切な清めの行事となっています。

人には言葉にできない、理屈では表現できない神秘的で、湧きおこる感動を自然から学ぶことがあります。来年は、今年よりも成長した姿で訪れることができるよう、お天道様に今日も感謝し、過ごすこととします。

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