更年期を迎えると女性の体には大きな変化が訪れます。「更年期を単なる通過点ではなく新たなステージへの出発点ととらえ、後半の人生に向けて踏み出す準備をはじめましょう」と話すのは、医師・天野惠子さん。自身も更年期症状に悩んだ経験から、日本における「女性外来」の発展に尽力してきました。最新の情報をまとめた自著『女の一生は女性ホルモンに支配されている!』(世界文化社刊)から、女性に多い目の病気の症状や対処法などについて解説します。

高齢女性の目のイメージ画像
閉経後の女性は目の病気に注意が必要。(※画像はイメージです)
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白内障、緑内障、ドライアイ。更年期以降の女性は注意

加齢とともに増える白内障、緑内障、ドライアイなどの目の病気。調査や研究で、男性より女性の患者数が多く、エストロゲンの減少も要因になるとの結果も出ており、閉経後の女性はとくに注意が必要です。

視機能の低下がもたらすのは、文字が読みにくいといった日常生活の不便に止まりません。知的活動や社会参加を妨げて脳の働きに影響を及ぼす、転びやすくなって骨折の危険が高まるなど、健康寿命を伸ばすうえでも大きなネックとなるのです。

目の構造イラスト
目の構造(『女の一生は女性ホルモンに支配されている!』より)

女性に多く、誰もがなりうる3つの目の病気「白内障」「緑内障」「ドライアイ」について、その症状を詳しく解説します。

●白内障

タンパク質が酸化して水晶体(外からの光を集めてピントを合わせるレンズの働きをする)が濁り、視力が低下する病気が白内障です。加齢とともに増え、総患者数は女性108万6000人、男性62万9000人(人数は、『国民衛生の動向2022/2023』を参考)と女性に多く、紫外線や糖尿病なども原因となります。水晶体の中心部から濁る核白内障、周囲から濁る皮質白内障、後ろの部分から濁る後嚢下(こうのうか)白内障などの種類があります。

【主な症状】
・見えにくい、かすんで見える
・二重、三重に見える
・眼鏡やコンタクトレンズの度数が変わる
・まぶしい
・目が疲れる、頭痛がする

●緑内障

緑内障は何らかの原因で眼圧が上昇し、視神経が障害されて視野が狭くなる病気です(日本人には眼圧が正常な正常眼圧緑内障も多い)。初期に自覚症状はなく、気づいたときは相当進んでいることも。障害された視神経は戻りません。40歳以上の5%と有病率が高く、失明原因の第1位である緑内障は、眼科検診による早期発見と点眼薬などで進行を抑える治療が何よりも大事です。

【主な症状】
・初期では自覚症状はない
・かなり進んでから見えない場所が出現する、視野が狭くなる

【緑内障の2つの種類】
・開放隅角緑内障:シュレム管内の線維柱帯が徐々に目詰まりして房水が排出されにくくなり、眼圧が上昇する。ゆっくり進行する慢性の病気。正常眼圧緑内障もこのタイプに分類される。
・閉塞隅角緑内障:隅角が狭くなり、閉じてしまって房水の流れが妨げられ、眼圧が上昇する。慢性型と急性型がある。

●ドライアイ

涙の量が不足したり、質が変化して涙が瞳に均等に行きわたらなくなる病気がドライアイです。症状は、目が乾く、ゴロゴロするなどで、加齢のほかパソコンやスマホの見過ぎ、コンタクトレンズの使用、ストレスなどが指摘され、エストロゲン不足も関係するといわれています。シェーグレン症候群という自己免疫疾患で目が乾くこともあるので、症状に思い当たるときは放置せず眼科を受診しましょう。

【主な症状】
・目が乾く
・目がかすむ
・まぶしい
・目が疲れる、痛い、ゴロゴロする
・目が充血する
・目やにが出る