そして迎えた、翌日の朝
すべての画像を見る(全14枚)翌朝になっても、状態は変わっておらず、立ち上がっても、ぺしゃりと座り込んだ。
私は仕事で、両親が普段かかっている病院に連れて行ってくれた。病院で診察を終えた母親から家族のグループラインにメッセージが届いた。
9:14「股関節、足、足裏触ってもらったけど違和感なし」「1週間痛み止めを飲んで様子を見る。ねんざとかかもしれない」「1週間後しんさつ」
9:17「よくならないときは腰からくる神経かも。そのときはMRIを撮る」
帰宅後の母から届いた写真で、痛み止めが効いているのがうかがえた。昨夜は無理だった横ばいの姿勢になっていて、和らいだ表情で眠る犬が写っていた。
写真を見て安心したのか、突然手のひらに携帯の重量を実感した。昨夜から私はずっとうろたえ続けていたのだと気づく。深い息を吐いた。
「ただいま!」勢いよく扉をあけるとすっかり調子がよさそうな犬が出迎えてくれた。犬のほほを両手で包みきらきらと光を映すかわいい両眼を見つめると、「よかったなぁ。よかったよかった」と柔い頬を撫でる。
昨夜から一転して、なんと明朗な表情や。兄と散歩に行ってきたばかりだそう。念の為にこの夜もまだ犬につき添ったが、翌日は朝からはつらつとしており、本調子を取り戻していた。
1週間は毎朝処方された痛み止めを飲んでいた。そして3月29日、再診へ。先生の見立てでは、椎間板ヘルニアで後ろ足の神経が痛かったのではないかとのこと。
そして「犬ちゃんも人間やったら60歳くらいやからね、身体に変化が出てきてもおかしくないお年頃やね」とも仰った。私よりあとに生まれてきて超えていかんでよ。
先週は血液検査もしてもらっていたらしく、結果は髄炎の心配もなく「大丈夫!」と言ってくれた。「大丈夫!」が心強くて、いつまでも耳に留まっていた。そう言ってもらいたかったのだ。
うちにはイノシシ除けに柵で囲った畑がある。普段はどんなに人気のない場所でも勿論リードをつないでいるが、この畑の柵内ではリードを放している。リードを放したらそれはもう目にも止まらん光の速さで走り出し、畑中を駆け回る。犬だけのドッグランである。
直近でみかん畑に連れて行ったのは3月9日だった。それから2週間、不調な素振りはなかったがやはり少し気になってしまった。好きなように走るのはいい運動やストレス発散にもなっていたと思うが、負荷もかかるだろう。
運動の見直しもだが、老いによる不調は生活のなかでたった一か所を変えたらよくなるとも限らんし、食事だったりいろんな面で気をつけよう。勉強せな。犬を育てるってほんまに難しいことですよ。
両親が居間から上り下りする範囲の土間にマットを敷いてくれた。試行錯誤はつづく。