とにかく眠る直前まで、全力で笑わせていた
すべての画像を見る(全2枚)無言でも相手を緊張させたり、気を遣わせる人っていますよね。
「麻里ちゃんが来ると、なんだか空気が暗くなるんだよね」
ではなくて、
「麻里ちゃんが来ると、楽しくなるね」
と言われる人間に育てたかったんです。
だからもう、バカなことばっかりやって遊んでいました。
たとえば「ケツケツダンス」。お風呂上がりにお尻とお尻をぶつけて「ケツケツケツケツ、ケツケツダ~ンス」と踊るだけ。あとは「乳首探しゲーム」。パジャマ姿で横たわっている僕の鼻を麻里が押すとスイッチが入り、僕がロボット声で「ミギノ、チクビヲ、サガセ」などと言い、麻里がパジャマの上から乳首だと思うところを押す。間違うと「ブー」、正解だと「ピンポン」と言うだけ。でも子どもって同じ遊びを何度も繰り返すので疲れちゃうんですよ。それで壊れたマネをすると、首のところをガチャガチャいじったフリをして「あ、直った!」と麻里がアレンジしてくるわけです。
そして麻里を寝かせるためにベッドに入れてから、昔話の「桃太郎」にアレンジを加えて40分くらいしゃべっていました。
とにかく眠る直前まで、僕は全力で麻里を笑わせていたのです。
教えたかったのは「人生は楽しい」「生まれてきてありがとう」
そんな遊びを通して麻里に教えたかったのは、
「人生って楽しい」「生きているって楽しい」
ということと、
「生まれてきてくれてありがとう」
という僕の思いでした。
「お父さんとお母さんは、麻里が生まれてきてくれて本当にうれしいんだ」ということを、ちゃんと言葉にして伝えないと、子どもはわからないものです。「父親の背中を見ろ」なんてよく言いますが、それでは伝わらないでしょう。
愛情は言葉にしないと伝わらない
麻里が小学校3年生のとき、「そろそろいじめなんかも出てくる頃かな」と思い、僕はこのように言いました。
「いい? お父さんはね、麻里のためなら死ねるんだよ。たとえば麻里が重度の心臓病で、僕の心臓を移植すれば治りますがどうしますか? と聞かれたら、最後まで説明を聞かずに『お願いします』と言える。そういう覚悟で生きているんだよ。だから、とにかく困ったことがあったらなんでも言ってほしいの。よく、学校でいじめられているのに親に心配かけたくないと黙っている子どもがいるけれど、黙っているから追い詰められちゃうんだよ。だから絶対に言ってほしい。君たちよりも、お父さんお母さんは人生経験が豊富で、解決策も浮かんでくるから絶対に言ってほしい」
すると、麻里はちゃんと「わかった」と言ってくれました。
ちなみに「君のためなら死ねる」というのは、漫画「愛と誠」に登場する岩清水君という男子生徒から学んだ言葉です。
関根勤さんの50年の芸人人生を楽しく綴った書籍、『関根勤の嫌われない法則』(扶桑社刊)では、ほかにも子どもと孫への愛についてや、芸能人生についても紹介しています。