●無理に捨てなくてもいい

いつもはしまってあるものも、たまに光をあてて鑑賞することで、物としての魅力を増す。例えば、本棚の上の小物やオブジェ。気に入ったもの全部を並べるのではなくて、ある程度はしまっておいて、期間を決めて変えてみるとか。

捨てられない物展
「続・捨てられない物展」の一部
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東京に出て初めて買った真っ白い鍋は、もうぼろぼろだけど、私にとっては相棒だ。新しい物を買うのもいいけど、これを捨てるのは難しい。冷蔵庫が壊れたら買い替えるように、やっぱり使えない物の多くは捨てることになる。全部が全部捨てられないとなると家全体の空気の流れが良くなくなるだろう。鍋は下のシンクに入るだけと決めてしまって、それ以上は買わない。◯◯専用みたいな道具は特に出番が少ないから買わないで、あるもので代用する。炊飯器も場所を取るから持たない。土鍋と蒸し器は何でもできる優れものだ。

苦肉の策として捨てることもあるけど、どうしても大切なものは押し入れにでも隠しましょう。「大切=高かった物」ではないと私は思う。そこには思い出とか、可愛さとか、その人にしか分からない思いがあって、それが一番大切だ。捨てられない物は、捨てようという気持ちになるまで取っておいていいのだと思う。

さて、年内のエッセイはこれでおしまいです。今年も読んでくれてありがとう。また来年もよろしくお願いします。みなさん、健やかに良いお年をお迎えください。

「続・捨てられない物展」は、吉祥寺のギャラリー芝生で1/15まで開催しています。(年末年始12/26〜1/5までは休み)詳しくはこちら

本連載をまとめた書籍『暮らしっく』(扶桑社刊)も発売中。

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