●ヘアもメイクも自分たちで

「当時はヘアもメイクもプロの方にお世話になることはなく、テレビ出演も雑誌の撮影も、すべて自分たちでやっていました。衣装ケースにその日着る衣装を数点入れ、ケースの下部には靴を収納。片手にメイクボックスを持ち、さらに私物を入れたショルダーバッグを肩からかけて、左右に揺れながら仕事場まで通っていました」

衣装は、専門につくってくださる方がいて、歌う曲が決まると「これがいいですね」「ではこんな感じで」などと打ち合わせをしながら、自分たちで決めていったのだそう。

「3人のなかでは、『キャンディーズはこうよね?』というイメージが少しずつできあがっていった気がします。ラストコンサートのときも『キャンディーズらしいのはこっちじゃない?』と言いながら衣装を決めました。大胆さもあるけれど、どこかかわいらしいイメージ。私たちにとっても、おそらくファンの方たちにとってもそうだったと思います」

40年ぶりの歌手活動に緊張。でも、やっぱり楽しい

ライブ
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そこから時を経て、2019年に歌手活動を再開した伊藤さん。デビュー50周年イヤーの今年は、3枚目のアルバム『LEVEL 9・9』を発売し、全国6都市でコンサートツアーを行いました。

「久しぶりにひとりでスタジオに入って、マイクの前に向かったときは、とても緊張しました。なんといっても、しっかり声を出すのは40年ぶりだったので、初めはやはり怖かったです。そのときの“自分”が包み隠さず録音されてしまうわけですから。最近やっとなじんできて、それもまた楽しいかなと思えるようになりました。今の私の精いっぱいのパフォーマンスで喜んでくださる方がいるのであれば、なんとか応えたいという気持ちでいます」

コンサートでは「ランちゃーん」というかけ声が飛び交い、観客を魅了し続ける伊藤さん。エッセイ集『Over the Moon』では、さらに詳しく現在に至るまでの道のりを振り返っています。幼少期やデビュー前の写真、キャンディーズのプライベート写真など、たっぷりの写真も必見です。

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