●コロナ禍で面会NG。ホッとする自分がいた

面会
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貴代さんのご主人は一般病棟へ移り、10日間の経過観察を経て、退院することができました。心肺機能は以前の2/3程度にまで落ちてしまうと医師から説明さえたものの、大きな後遺症もなく、日常生活も普通に送れているといいます。

「いざ、夫が死ぬかもしれないっていう場面に直面して、自分のなかで夫への愛が完全にないことを自覚してしまいました。もちろん、大変なことになったという焦燥感みたいなものはありましたが、家族というより他人事に似た感じでしか受け止められなかったんです。コロナ禍だから『入院中、面会全面禁止です』って言われたときも『あぁそうですか』ってホッとした自分がいて。もしかしたら容体が一転する可能性だってあったのに、会いたいなと思うことさえありませんでした。
子どもの学校のリズムを戻してあげなきゃとか、保険の手続きは進めなきゃとか、そういう母親的な役割はきちんとこなしましたが、“妻”という立場で、夫を心から思いやることは最後までできませんでした」

●夫への愛は消えていた

孤独

好きでも嫌いでもないとか、家族みたいな存在だからセックスできないという夫婦はたくさんいます。また、相手が死んでしまうかも…という状況になり、夫という存在の大きさに気がついたという人は、この連載の取材のなかでもたくさん出会いました。けれど貴代さんの場合は、その逆のパターン。本当に愛が消えていたことを、自分自身がだれよりも思い知ることとなってしまったのです。

「レスだから悩んでいますという段階はとっくに過ぎていたんです。子どもがいるから離婚しないだけ。子どもが成人して家を出て行ったら、そこで夫との関係も終了かなと思います。元気なうちに卒婚して、もっと気の合うパートナーを見つけるほうがお互いのため」と貴代さんは言います。

「けれど、わかりませんよね。昔の自分はレスで悩むような40代を過ごしているなんて夢にも思っていなかったように、未来の自分は今の自分には考えられなかったような道を歩んでいるかもしれない。お互いとってどういう老後がベストなのか、しっかり話し合いたいと思います」

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