黄ばんだシャツが元通り!酸素系漂白剤を使う前に知るべきポイント
汗をかく夏は、洋服も黄ばみがち。さらに、におうし、なんだか輝きがなくなってしまった…なんてことはありませんか。
そんなとき、新しい服を買い直すのもいいですが、衣類をリフレッシュするのもじつは簡単なこと。酸素系漂白剤でのつけおき洗いが有効です。
今回は、掃除研究家でハウスキーピングコーディネーターのおそうじペコさんに詳しく伺いました。酸素系漂白剤を効果的に使って衣類の黄ばみを元通りに!
●衣類が黄ばむ原因は?皮脂ってどう悪いの?
すべての画像を見る(全23枚)そもそもなぜ、衣類は黄ばんでしまうのでしょうか。原因は、洗濯をしても落ちきらなかった皮脂や繊維の間に残った洗剤・石けん成分が酸化して変色すること。
皮脂は1日に平均14mg分泌されて衣類にまとわりつき、ボンドのような役目をしてホコリや皮ふの汚れを吸着してしまい、洗濯ではなかなか落としにくい汚れを生んでしまうやっかいなものです。意外なことに、皮脂量は夏よりも冬に多いと言います。
また、実験によると皮脂分泌量は男性より女性の方が多い(!)という結果があります(データ上のことで、個人の体質によって違うこともある、と私は感じます)。
●酸素系漂白剤の効果を最大限に引き出す3つのポイント
黄ばんでしまった衣類の汚れは普通に洗濯をしてもなかなか落ちません。「汚れを落とす洗濯」ではなく、「汚れを分解し脱色する、漂白」が正しい対処法です。
そこでおすすめなのは、色柄ものにも使用できる粉末の酸素系漂白剤(過炭酸ナトリウム)。粉末の方が液体より、水に溶かしたときの化学反応が生まれて漂白除菌の効果が高くなります。
酸素系漂白剤の効果を上げるには、3つのポイントがあります。
・ポイント1.適温で使用する
酸素系漂白剤の適温はとてもデリケート。
上記の図のように、粉末の酸素系漂白剤の成分「過炭酸ナトリウム」は水に溶かすと「炭酸ナトリウム」と「過酸化水素」に分解します。
さらに40℃程度で過酸化水素から酸素が発生し酸化漂白(汚れ分子を短く分断すると白く見える作用)します。
このとき、水溶液の温度が高温すぎると一気に酸素が発生しきって漂白が短時間で終わってしまい、逆に温度が低すぎても酸素の発生がおさえられてしまいます。いちばん安定して効果が出るのは40~50℃です。
・ポイント2.保温する
衣類をまんべんなく効果的に漂白するためには、十分な酸素がじわじわと発生する環境が大切。そのため、適温40~50℃がなるべく下がらないようフタやタオルでおおうなどして保温すると効果が持続します。酸素の量が多すぎず、短時間で出しきらない状態です。
※酸素が発生するので完全密封はしないでください。
・ポイント3.漂白が終わり次第つけおきをやめる
漂白効果はおよそ1~2時間でなくなります。ポリエステルなどの合成繊維は汚れを吸着しやすい性質があるため、長時間つけおきすると逆に汚れが付着して黒ずんでしまいます。つけおきは30分~1時間程度にしましょう。
●実際に酸素系漂白剤を使ってつけおき漂白!
(1) バケツに衣類がしっかりと漬かる量のお湯(40~50℃)、粉末の酸素系漂白剤(基本はお湯2Lに10g程度)を入れて菜箸などを使い、ゆっくりとかき混ぜます。水溶液はアルカリ性なので、素手では触れないようにしましょう。
(2) 漂白剤が浸透し始めるとシュワシュワと酸素が放出し始めるので、すぐに衣類をつけ込みます。
(3) 温度が下がらないよう、フタをして上からバスタオルなどをかけて保温します。
フライパンのフタが便利です。このとき、衣類が浮いてくるようなら途中で一度かきまぜましょう。つけおき時間は30分~1時間。
※フライパンのフタは、つけおき洗いが終わったらしっかりと洗い流すようにしましょう
(4) その後、軽く絞って洗濯機ですすぎ、脱水をして成分を洗い流します。
こちらはつけおき洗いをする前とした後のコットンの白いインナーです。洗い上がりは黄ばみもにおいもなくなりました。
こちらは柄ブラウスです。わかりにくいですが、襟元の縫い目にあった黄ばみがなくなりました。
毛、絹を含むもの、色落ちしやすいものには使用しないでください。
酸素系漂白剤はアルカリ性のため、金属製のボタンや装飾品、金糸銀糸は変質することがあります。
衣類への影響が気になる場合は、目立たない場所で一度テストしてから使用してください。
酵素系漂白剤で手荒れすることもありますので、使用する場合にはゴム手袋をしましょう
漂白のメカニズムを知ると、漂白剤を適温で使用する大切さがわかると思います。手間暇かけて漂白をするのですから、より効果的できれいな仕上がりになるようポイントを意識してみてくださいね。
<参照文献>
「洗剤と洗浄の科学」(中西茂子/コロナ社刊)
「生活用品の化学が一番わかる」(武田徳司他/技術評論社刊)