●貯金がなくなっても「なにかを変えたい」一心で行動

スペインで、スペイン語のための留学…徐々に方向が固まりだし、同時に夜な夜なお金の計算をする日々となりました。離婚後は数種類の仕事をかけもち、なんとか生活が保てていたため、正直、貯蓄が始められたのは子どもたちが社会人になってから。大きな蓄えはありませんでした。

そのため、保険も崩せるものはすべて解約し、洋服やバッグ、書籍も思いきって売って、お金をつくりました。小さなワンルームの生活だったとはいえ、人生をスーツケースひとつに詰め込むにはほとんどの生活品を処分しなければなりませんでした。そして処分により生まれたわずかなお金も、渡航費として貯めていきました。

スペイン
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まずは250万円。語学学校の費用と生活費、この金額があれば1年間は生きていけると計算しました。あの口座にも少しお金があったかも…あの保険を解約すれば…この日まで待てば給料日だから…と、電卓ばかり叩いていました。
このとき、たとえ貯蓄が空っぽになっても「きっと、どうにかなる」と思えたのは、「なにかを変えたい!」という気持ちを失いたくなかったからです。それまでは国内旅行ですらもったいなくて行けなかったのに、あのとき動いた心は今考えても不思議です。もう一度、最後に自分の人生を生きてみたかったのかもしれません。

●ダメならまたイチからやり直せばいい

これまでの私は、〇〇家の奥さん、〇〇ちゃんのお母さん、〇〇会社の人、常に所属する場所があり立場に合わせたふるるまいが必要で、だからこそ守られた生活でもありました。渡航に向けて住民票を抜き、健康保険証を返却し、マイナンバーカードを失効…あらゆる紐づけから外れ不安が募っても、後戻りしたいとは思いませんでした。

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「絶対なんとしてでも成功してみせる!」…そんな強い思いはまったくなく、もしもダメなら帰ってくればいいじゃない、同じ会社には勤められなくても、どこかしらに勤務して、またイチから始めたって大きく変わらない。たとえ給与が下がっても、この経験をもてた自分の方がいいじゃない! そんな、ふわっとした気持ちを大切にしていました。

若い世代とは違う留学、久しぶりすぎる勉学、健康面の不安…決して意気込みすぎず、「違う国で一人で生きてみる」ということを目標にしました。
そして出発日が近づくにつれ最大の不安は「無事にスペインへ到着できるのか」。トランジットもある23時間もの移動、じつは一人で飛行機に乗るのも初めてだったのです。

 

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