●親以外の大人にも相談できる環境をつくる

──反対に、子どもが被害者になった場合はどのように対応すべきでしょう?

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北山先生:被害を打ち明けてくれた場合は、なによりもまず信じてあげてください。悲しいことに家族や近い存在からの性被害って意外と多いんです…。相手(加害者)を信頼するあまり「そんなことあるはずない」と反応してしまうケースも見られますが、信じてもらえないと傷ついたこころとからだは一生救われません。まずは信じてあげる、そのうえで次の行動を一緒に考えてあげましょう。

本人が隠している場合は、事実を知る人に確認しながらこちらから問いかけるべきなのか、今は子どもの気持ちを尊重すべきなのかをケースバイケースで判断していきましょう。なにかあったときに大人に相談できる環境「安全ネットワーク」を整えることも大切です。

──安全ネットワークとは?

北山先生:自分のからだや思いを侵害されたときに相談できるネットワークのことで、親や親族、先生などの信頼できる大人3~5名で構成されます。先ほどお話ししたとおり家族からの性被害も多いので、そのうちの1人は家族以外の人から選ぼうね、と子どもに呼びかけます。
性被害が起きたとき、当たり前ですが悪いのは“やった側”です。「悪いのは加害者で、あなたはまったく悪くないんだよ」と寄り添ってあげてくださいね。

●スマホ世代だからこそ、正しい性知識を教えていくことが大切

──インターネット上で性的な情報を気軽に得られるいま、どこまでを許し、どこから制限すべきでしょう?

スマホを見る子ども

北山先生:インターネット上には暴力的なコンテンツや刺激の強い表現も多いので、フィルター機能を使ってある程度制限する必要はありますね。とはいえ、性的コンテンツを絶対に目に触れないようにするのは不可能です。どんなに家庭で対策していても、興味を持って知りたいと思ったらいくらでも情報を得る方法はありますから。

だからこそ、正しい知識を小さいうちから教えてあげてください。二次性徴はどう起こり、男女のからだがどう変化し、自分はどのようにして生まれてきたのか。そんな正しい性知識を親子で一緒に学んでいくことが大切だと思います。

ときには、学校で性的な言葉を学んでくることもあるでしょう。頭ごなしに否定するのではなく、「どこで聞いたの?」と聞いたうえで、その性知識が誤ったものであれば大人としての意見をしっかり出していきましょう。

──パートナーが性教育に協力的ではない場合の対応は?

北山先生:現在の子育て世代の多くは、幼いころに性教育=隠すこととして教えられてきたはず。きっとカーテンを閉めて女子だけで月経について学ぶ、みたいな授業でしたよね。自分たちがきちんと習っていないからこそ、「性教育ってなにすればいいかわからない」「別にしなくてもいいでしょ」って思ってしまうんですよね。

そんな方にこそ絵本がおすすめです。監修をしている『アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん』は「なんでパンツをはいてるんだろう?」という疑問から、たのしいストーリーとかわいいイラストで「じぶんを大切にすること」について学んでいけます。ぜひ絵本をきっかけに、おうちでの性教育をはじめてみてくださいね。

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