少子高齢化社会が年を追うごとに進んでいる日本。高齢者にとってもっとも危険で、心配しなければならないのは「孤独死」問題かもしれません。高齢者の多くは、通常、健康のことやお金のことなど、さまざまな不安を抱えていますが、いちばんのリスクは「孤独」。とりわけ、おひとりさまには深刻な問題です。では、どのような人が孤独になってしまうのでしょうか。

専門家のアドバイスもあって、「ひとりで生活できなくなる前にしっておきたいこと」を85項目収録したムック、『おひとりさま[老後生活]安心便利帳』(扶桑社刊)。ここでは本書より一部抜粋、再編集して紹介します。

 

会話の頻度が低い人は要注意!「孤独」はさまざまなリスクを引き起こす

床に倒れる女性
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どのような高齢者も、配偶者や昔からの友人・知人が先に亡くなっていくことで、孤立感がつのるのは避けがたいことです。「一日じゅう、だれとも話さなかった」という日常を過ごし、孤独死がリアルに身に迫っていると感じる人もいれば、「慣れているから平気」と孤独を気にしていない人もいるのではないでしょうか。孤独に対しての感じ方は人それぞれですが、孤独がさまざまなリスクを引き起こすことが報告されています。

たとえば健康面では、認知症や老年期のうつ病などは、発症に気づきづらいうえに、人と会話をしないうちにどんどん進行し、とても危険です。安全面では、昼間ひとりでいることの多いおひとりさまは詐欺や悪徳商法に狙われやすく、被害数は年々増加しています。

 

孤独死よりも怖い!本当に避けるべき「孤立死」とは?

孤独な女性
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近年は「孤独死」とは別に、「孤立死」が社会的に注目を集めています。前者は、亡くなる直前まで人とのつながりがあったが、ひとりで亡くなること。後者は亡くなる前の一定期間ずっとつながりを持たず、そのままひとりで亡くなることを指します。

言うまでもなく、「孤立死」のほうがつらい状況です。たまたま遺体が発見されるのが数日遅れたからといって、生きていた間は友人・知人もおり、社会参加もして日々が充実していたなら、それは厳密には「孤独」ではありません。つまり、本質的な「孤独な死」とは「孤立死」のことなのです。

今回は、そんな高齢者おひとりさまが気をつけるべき5つの危険ポイントと、危険を予防する方法をご紹介します。

 

●危険1:「孤立化」。喫煙や飲酒より怖い“つながり”を失うこと

孤立化グラフ

2010年にアメリカのブリガム・ヤング大学で、どのような要因が死亡リスクを高めるのかという研究が行われました。総勢30万人を対象とした長期間の調査研究の結果、「孤独」がもたらす健康リスクは「肥満」の2倍高く、「タバコを一日15本吸うこと」や「アルコール依存症であること」に匹敵するとわかったのです。日本でも、内閣府が出している高齢社会白書(平成30年版)でも、「家族や友人と、ほとんど会話がない」と回答した人のうち、「健康状態が良い」と回答した人はわずか1.1%しかおらず、反対に「健康状態が良くない」と回答した人は13.1%もいました。約13倍になるほど多いのです。
こうしたことから孤独感を放っておくと、健康状態に大きな影響を与えることがわかるでしょう。これらのデータからも高齢者おひとりさまがいつまでも健康に長生きするためなら、やはり積極的に人と関わる必要があるようです。

たとえば、お住まいの地域のシルバー人材センターに登録して仕事をしたり、ボランティアなどで社会参加したりと、または趣味のサークルに入ったり、興味のある市民講座を受社会参加することが大切です。

【孤立化を予防する手段】

1、仕事や地域参加をする
2、趣味や学びなどを続ける

 

●危険2:「貧困」。毎月の生活費は年金だけだと2万円以上足りない

貧困

総務省の調査では、65歳以上の単身世帯でかかる1か月の生活費は平均14万3139円ですが、収入は平均12万2559円。つまり、毎月2万円以上も不足しているのが現状です。生活が苦しくなれば、外出を控えるようになります。そうすると人と接触する機会も減り、結果、孤立化につながるという悪循環を引き起こします

生活費の不足分を補充するためには、もしご自身が健康なら、シルバー人材センターやハローワークに登録して、働き続けましょう。仕事をすれば社会との接点もでき、孤立化の解消もできます。万一働くことができない状況で生活に困窮したときには、迷わず生活保護の受給を検討することをお勧めします。

【貧困を予防する手段】

1、自分のペースで働き続ける
2、迷わず生活保護を受ける