インフルエンザが大流行しています。外出するときにはマスクをし、こまめな手洗い・うがいを意識している人も多いのではないでしょうか。
しかし、インフルエンザの感染対策として、これら「外からの予防」だけでは、じつは不十分。1日の3分の1以上を過ごす「家の中からの予防」も非常に大切だと話すのは、テレビにも多数出演する掃除のプロ・松本忠男さんです。
ここでは、とくに家庭内感染に気をつけたい部屋と、そこで「病原ホコリ」を拡げず正しく除去する掃除方法を教えてもらいました。
インフルエンザに感染しやすい場所1位は寝室!ホコリを舞い上げないように掃除を
「インフルエンザウイルスは、家の中に持ち込まれてホコリと混ざると、24~48時間は活性化します」と松本さん。
間違った掃除をすることによって、このウイルスを含んだ「病原ホコリ」を舞い上げたり拡散してしまい、インフルエンザの家庭内感染を引き起こす例は少なくないのです。
●インフルエンザに感染しやすい場所第1位:「寝室」
すべての画像を見る(全3枚)寝室は毛布や布団など、家の中でも布類が多い分、たくさんの繊維が落ちてホコリが大量に出やすい場所。
「寝ている間、知らず知らずのうちにインフルエンザウイルスを含んだホコリを吸い込み、感染してしまうリスクがもっとも高いといえます」
寝室の「病原ホコリ」は、寝具を跳ね上げたり、人が寝起きするときの動作によって、室内を舞ったあと、カーテンレールや棚の上などの高いところに蓄積します。
「床など低い場所のホコリばかり掃除していても意味がありません。カーテンレール→棚の上→ベッド枠と、高い場所から低い場所に向かって、順にホコリを回収していくことが大切です」
高いところの病原ホコリを確実に回収するためには、じつは市販の化繊ハタキはNG。
「化繊ハタキは静電気の力でホコリを吸い寄せているだけなので、一見ホコリが取れたようでも、少し動かすだけで、じつはふたたびホコリを飛散させています。そこで、500ミリリットルのあきペットボトルの側面を切りぬき、そこに化繊ハタキをセット。化繊ハタキは、100円ショップで売っているものでOKです。汚れた面を回していきながら掃除することで、ホコリの舞い上がりを防ぐことができます」
さらに、化繊ハタキの動かし方もポイント。キレイにしたいからと、ゴシゴシこすればこするほど、病原ホコリはどんどん舞い上がってしまいます。あくまで一方向に向かって、そっと静かにホコリを除去していくのがポイントです。
「その意味で、床の掃除は乾いたフローリングワイパーがベスト。ウエットタイプでは、かえってホコリを塗り広げてしまいますし、掃除機は、ヘッドや電気コードの動きでホコリを拡散してしまいます」
フローリングワイパーの動かし方も、化繊ハタキと同様、ホコリを舞い上げないように一方向に静かに、が鉄則です。
●インフルエンザに感染しやすい場所第2位:「トイレ」
衣服の脱ぎ着やトイレットペーパーなど、寝室についでホコリの元が多いのがトイレ。さらに換気扇の吸気によって、廊下に舞い落ちたホコリもトイレの床に吸い寄せられ、多くの病原ホコリが溜まりやすい場所だといいます。
「トイレは便器から掃除する人が多いですが、それによって周囲に水が飛び散ると、壁や床に付着しているホコリがぬれて、除去しづらくなってしまいます。寝室同様、ここでも高い場所から低い場所に向かって、まずは『病原ホコリ』を除去していきましょう」
まだまだ流行が懸念されるノロウイルスの感染予防も気をつけたいもの。
「ウイルスは、接触感染でどんどん広がっていきます。便座の上げ降ろしをする手前部分、水洗レバー、ドアノブなどの除菌はとくに重点的に行ってください」
●インフルエンザに感染しやすい場所第3位:「キッチン」
キッチンも、油汚れと混ざってホコリが溜まりやすい場所。調理をしながら咳やくしゃみをしてしまい、インフルエンザを含んだ「病原ホコリ」に変化してしまう可能性が少なくありません。
「さらに、火を使うキッチンでは、空気が温まって上昇気流が起こり、床のホコリが冷蔵庫や電子レンジ、棚の上など、やはり高いところにも溜まりがちです。高いところのホコリはこまめに取り除き、床もホコリが溜まりやすい隅の方を意識して掃除するようにしてください」
ほかにも、家庭内での感染を防ぐ方法は松本さんの著書
『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社刊)で詳しく紹介されています。100円グッズを使った便利アイテムのつくり方も掲載。
すでに家族がインフルエンザにかかってしまったという人はもちろん、これから防ぎたいという人も、ぜひ日頃の掃除に取り入れてみてください。