春は特に不調を感じやすい季節ですが、今年はこれまで当たり前だったマスクが「個人の判断」となることで、さらに環境が変わります。そのため、メンタル不調を感じる人が多いのでは、と懸念するのは、うつメンタルコーチで公認心理師の川本義巳さん。その理由と対処について教えてくれました。
すべての画像を見る(全2枚)マスクを外す今年の春はメンタルに要注意?
3月13日から、マスクが「個人の判断」で着用しなくてもよくなりました。この日を待ち望んでいた人も多いと思います。
とはいえ、「引き続きマスクをつける」という人も多いようです。ある企業が調査をしたところ、4人に1人はマスク着用の継続を決めているとか。新型コロナウイルスも完全になくなったわけではないですから、そう思う人がいても不思議ではないですね。
またこういう意見もあります。「ずっとつけているからこっちの方が普通になった」と。確かに3年ほど当たり前のようにマスク生活をしてきたので無理もないでしょう。
●マスクをしなくなることでメンタルへの影響も…
マスクをしなくてもよくなることに関して、私なりに少し不安に感じることがあります。それはメンタル面への影響です。3月~4月というと日本は新学期、新年度を迎える時期になります。すなわちそれまでの生活環境とは大きく変化をしやすくもあり、さらに気候の変動も大きい時季です。これらの変化に対応しきれずにメンタル不調に陥る人が多く出てきます。
ただでさえ不調に陥りやすいこの時季に、マスクを外す人が増えることがさらなるストレスになると考えられます。
これまでの3年間は、マスク生活で相手の表情が読み取りづらかった状況でした。そしてそれに私たちは順応してきました。もちろん、マスクで表情が見えないことへの不安やストレスもありました。でも、これからは表情が見えることで新たにストレスを感じる人もいると思うのです。
●相手の表情が見えることで不安を感じやすくなる?
じつは目から入る情報による影響はとても大きいです。諸説ありますが五感で獲得する情報のうち、視覚からの情報は80%ほどを占めているとも言われています。
実際私たちが日常生活を送っていても、目から入る情報はかなり多用されています。信号であったり、看板であったり、ピクトグラムであったりと、耳、手、舌など他の器官に比べると情報をキャッチしやすいのは間違いないでしょう。
マスクを外すことにより、私たちは相手の微細な表情まで感じ取ることができるようになります。3年間その機会がなかったわけですから、少し不慣れになっている可能性があります。そのため必要以上に相手の考えや感情を汲み取ったり、相手に敵意や悪意がなくても「自分が怒らせてしまったのでは?」と憶測をしてしまうこともあるでしょう。
とくに中学校、高校、大学の新入生にとっては、これまで同級生の素顔を見ることなく過ごしてきていますから、なおさらかもしれません。