あると助かるパントリーですが、奥行きが深いと使いこなしが難しいもの。9年前にハウスメーカーで家を建てた日刊住まいライターは、奥行きを70㎝に。プランの際にさまざまな工夫を盛り込み、結果、これが大成功。食材の収納はもちろんのこと、ネット通販のかさばるダンボールの片づけや、掃除用品置きとして、多岐にわたって活用しています。絶妙な棚板の設置方法など、プランの工夫について紹介。
すべての画像を見る(全12枚)キッチンの背面収納の並びにパントリーをプラン
9年前、ハウスメーカーで1階が親世帯、2階が子世帯(筆者の世帯)という二世帯住宅を建てた筆者。子どもが3人いて消費する食材が多いうえに、もともと防災用備蓄も兼ねて、食品類を多めにストックするのが習慣でした。
家を建てる際は、この食品ストックを収納できる、十分な大きさのパントリーがキッチンに欲しいと希望。とはいえ、二世帯住宅のためにスペース的に制約がありました。LDK、水回り、寝室、子ども部屋とたくさんの部屋をワンフロアに収めなければならず、スペースの余裕はなし。
試行錯誤を経てでき上がった間取りは、LDK全体で約23畳。キッチンは約5畳で、このキッチンの背面収納の並びにパントリーを配置することとなりました。
パントリーは、幅80cmの扉つき。内部には可動式の棚を設置しています。キッチン内に収めることを優先した結果、必然的に間口と位置が決まってしまいました。開口の向きや形状などは、残念ながらこだわる余地がなかったのです。
奥行きの深いパントリーを活用するための3つの工夫
とにかく苦労して確保したパントリーのスペース。どうせなら最大限有効活用できるようにしたいと考え、3つの工夫をプランに盛り込みました。
1.奥行きをあえて深くして、ゴミステーションに
まずは、奥行きをできるだけ深くしたこと。
当初は、キッチンの背面収納と合わせ、パントリーの奥行きも45cmで計画していました。しかし、通り抜けのジャマにならない、ギリギリのラインまで扉位置を前に出す仕様に変更。パントリー内の奥行き、70cm程度まで深くとれるようにしました。
一般的に、奥行きが深すぎる収納は使いにくいので、奥行きを広げれば収納量が増えるとは一概には言えません。ものが取り出しにくくなるので、奥までものをぎっしり置けないからです。
わが家のパントリーの使用目的は、食品ストックなどのこまごまとしたものの収納。むしろ、当初の45cm程度の奥行きの方が、ひと目でものの把握ができて、出し入れがしやすかった可能性も否定できません。
それでも、奥行きを深くした理由は、「パントリーの下部を資源ゴミ置き場として活用できそう」と間取り図を見て思いついたためです。
というのも…。ネット通販を頻繁に利用する筆者にとって、大量のダンボールを置くための場所の確保は、ずっと悩みのタネでした。目につく場所だとうっとうしい。かといって、わざわざ離れた場所に置くのも面倒。
そんなわけで、新居では、届いたものを開封する場所の近くに、ダンボール置き場を確保したかった筆者。パントリーはまさに、ぴったりの場所だとひらめいたわけです。
現在筆者が住む地域では、資源ゴミ回収が2週間に一度。なので、結構な量がたまります。ときには大きいものを購入するので、ダンボールがかなりかさばることも。でも、パントリーの奥行きが70cmもあれば、心配無用。わが家の消費行動からすると、結果的にはベストなサイズだったと思っています。
現在は、左側に段ボールストッカー、右側に複数のボックスを組み合わせて置いています。ビン、缶、ペットボトル、不燃ゴミ、古紙をそれぞれ分別して捨てられるように。
ボックスを前後に並べていますが、キャスターつきなので、奥のものが出し入れしにくいこともありません。収納の奥まで最大限活用できます。とはいえ奥側の下のボックスは、取り出しまでのアクション数が多くなるので、使用頻度が少ない非常用飲料水の保管場所とすることに。
2.棚板をL字に設置して、内部空間を有効活用
パントリー自体の奥行きは深くしたものの、内部につくりつけた棚板のサイズは変更しませんでした。設置したのは、当初のパントリー奥行き(45cm)に合わせた、奥行き35cmの棚板。
上述のように、こまごました食品ストック類を出し入れするには、棚板の奥行きが深いとかえって使いにくいだろうと考えたためです。
ただ、そうすると余ってしまう手前の空間はやっぱり少しもったいない…。ということで、側面の壁(写真左側)にも小さな可動式の棚板を設置しました。つまりパントリー内に、L字型に棚板を設置したのです。
小さな棚ですが、ふりかけのような埋もれがちなパッケージの小さな食材、頻繁に手に取る子ども関係の書類などの置き場として大役立ち。奥行きを深くしたことで生まれた空間を、取り出しやすさを損なうことなく活用することができました。
ちなみに、メインとなる正面棚板には、こまごましたものをボックスでざっくり分類して収納。ストックを兼ねて大量購入する飲料などは、棚に直置きで収納しています。
いずれの方法でも、ものが出し入れがしやすいうえに、デッドスペースも生まれにくいです。この奥行きで正解だったと思っています。
3.折れ戸をやめて、開き戸に変更し扉裏を活用
当初はパントリーの扉は折れ戸で計画していたのですが、途中で両開きの開き戸に変更しました。一般的には折れ戸より開き戸の方が安価のため、グレードダウンと言えます。
変更の理由は、コスト削減に加え、開き戸の扉裏を収納の一部として利用したかったから。筆者は、子どものプリント類を掲示したり、掃除用品を引っかけたりと余すことなく活用しています。
見えるところにあると雑多になりがちなプリント類。扉裏というプラスアルファ空間があるだけで、LDK全体のスッキリを保つのに役立っています。