寝そべる犬
すべての画像を見る(全13枚)

ある夜、私と犬と母でこたつを囲んでいた。テレビでポツンと一軒家を見ていた。犬は私の足の間で横になり、うつらうつらと船を漕いで、重いまぶたを閉じた。

犬

10分程そうしていたら犬が目を覚まし、だが意識は覚醒しておらずぽやぽやしている。私の足の間からゆっくりと立ち上がって出ていった。お水を飲みにいくのかな、寝床で本格的に眠るのかなと次に取る行動を考えていたら…。ぽてん、ずぅん。犬の身体が私の足の上に降ってきて、ふたたび体重が委ねられた。

犬

「あらまぁ~甘えんぼサンやな~」と母が笑った。上下する身体に合わせて寝息が聞こえた。母につられて笑ったけど、本当は犬を抱えながらすこし泣きそうだった。

犬

こんな甘えたな面もあるが、他人への警戒心が強くガードが固い。“元猟犬”や“オオカミの子孫”を立派に感じる場面がある。

そんな犬が私の前ではこんなにも油断してくれて、それがどれほどうれしいか。いつだって甘えてくれ、こちらは大歓迎。

犬

そして犬のご先祖さまであろうオオカミが、いつの時代をどう暮らしていたか想像できやんけど、あの子にとっても油断できる場所があったらいいのになと思う。ひとりのときでも他者の前でもよくて、どこかでできたら油断していて。

第1回~12回までの連載に加え、書籍オリジナルのコラムや写真も多数掲載した『inubot回覧板』(扶桑社刊)。こちらも犬の魅力が満載なので、ぜひご覧ください。

inubot回覧板

inubot回覧板

Amazonで見る