ホームパーティの機会が増える時季です。「おもてなしにふさわしい器がない」「段取りが不安」という人は、もしかしたら完璧にやろうとしすぎているかもしれません。
ここではESSEが注目する料理ブロガーで、器使いに定評のあるぶち猫さんに、カジュアルだけど華やかさもあるホームパーティの楽しみ方を教えてもらいました。
適当&気軽で十分楽しい!日常の延長にあるホームパーティの手法
料理と器集めが趣味なので、ときどき大人数向けのレシピを試したり、買い集めた器を披露したいという不純な目的で、友人を家に招いて食事をふるまっています。いわゆるホームパーティです。
ホームパーティというと、1人ずつ着席して、目の前にはおそろいの器とテーブルウェア。1人1皿ずつ料理を用意する、というイメージの方も多いと思うのですが、うちのホームパーティはもっと適当で気軽なものです。
基本のコンセプトは、日常の延長にあって、主催の自分の負担はなるべく少なく、参加してくれる友人にも気を使わせず、参加者みんなが気兼ねなく楽しめる会。
今回は、そんな日常の延長にあるホームパーティの手法について、お話したいと思います。
●不ぞろいでも気にしない。いつものグラスを活用する
ホームパーティのしつらえで、まず困るのがグラスをどうするか問題です。とくに、洋食に合わせてワインを出したいとき。
ワイングラスを人数分そろえなくては! という義務感に駆られがちですが、うちではあえてステム(持ち手)のない小さめのグラスを使っています。
理由は2つ。1つは、リラックスした雰囲気のホームパーティでお酒が入ると起こりやすい、ワイングラスを派手に倒して、ワインをこぼしたりグラスを割ったりする事故を防ぐこと。
経験上、ステムのあるグラスは本当に倒しやすく、倒したあとの処理にもとても気を使うのです。
また、ステムのあるグラスは重ねて収納できないので、収納に困りがち。そこでちゃんとしたワイングラスで高級なワインを飲むのは、本職のレストランにおまかせする方針にし、グラスはすべて同じものにそろえることはしません。
2人暮らしで使うために集めたグラスをトレイに並べて、参加者にそれぞれ好きなものを取ってもらう方式にしています。
ホームパーティならではの手づくり感と、自分の気に入っているグラスのなかから参加者の好きなものを選んでもらうという、遊びのような感覚が気に入っています。
日本酒を飲む会ではお猪口を出すことになりますが、このときも同じ方式です。
お酒が強い参加者が多い場合には、ワインのときと同じく小さめのグラスを出すこともありますが、飲み比べをするときやさほどたくさん飲まない場合には、日々使っているおちょこをお盆に並べて、使いたいときに好きなものを取って使ってもらいます。
おちょこはグラスよりも素材や形のバリエーションが多いので、どれを選ぶかでもちょっと盛り上がったりして楽しいものです。
ホームパーティでソフトドリングを出す場合の工夫として、うちでは食卓にハーブウォーターを用意しています。
ハーブウォーターといっても、ミネラルウォーターに、ローズマリーやタイムなどのハーブとレモンなどの柑橘類を入れただけ。水は随時ミネラルウォーターを注ぎたします。
簡単ですが、見た目が華やかなのと、ほのかな酸味とハーブの香りが口をリフレッシュしてくれるので重宝します。
ガラスのウォーターピッチャーがあればおしゃれですが、器は、ある程度の量の液体が入るものであれば、コーヒーピッチャーでも大き目の計量カップでもヤカンでも、家にあるもので大丈夫で、逆に意外な器にハーブウォーターが入っているギャップもおもしろいと思います。
●基本は大皿取り分け方式で
料理は、基本は大皿で出して、各自取り分けてもらうスタイル。盛りつけ作業に時間がかかり、主催者が長時間台所にこもってしまう事態を防ぐためです。
ホームパーティでは、主催者が常に忙しく働いていると、参加者にも気を使わせてしまい、リラックスして楽しみにくくなってしまいます。
写真は、鴨ロース。事前調理したものを提供する直前に一口サイズに切り分けて、あらかじめ用意しておいた薬味を添える作業だけをしています。
また、大皿から取り分けるスタイルならば、好ききらいやアレルギーで食べられない料理があった場合にも、気を使うやり取りをすることなく、食べたいもの、食べられるものだけを各自の食べられる分量に合わせて選んでもらうこともできます。
こちらも大皿料理の1つ。水切りをした豆腐を生ハムで包んで、パルミジャーノレッジャーノ、オリーブオイル、岩塩と黒コショウをかけたもの。
豆腐を生ハムで包んで盛りつけた状態で冷蔵庫に入れておき、出す直前に味つけだけをします。
ホームパーティでは、料理よりも会話やコミュニケーションが主役になることが多いので、話しながらでも取り分けて食べやすい盛りつけにすることも大事です。
大皿で料理を出す場合に気になるのが、取り皿をどうするか問題。うちではこれも「大体同じ大きさの種類の違うお皿」を人数分用意して、参加者に選んでもらう方式にしています。
大きさは2種類。料理にもよりますが、料理を取り分ける用の中皿とタレ用の小皿です。
一緒に種類の違う箸置きを並べておいて、好きなものを取ってもらったり、参加者同士でお互いに似合いそうなものを選んでもらったりすることもあります。
箸置きの好みを通じて会話が広がったりもする、ホームパーティならではの小ワザです。
●ホームパーティに器として「使える」道具たち
大皿料理が便利といっても、そんなにたくさん大皿をもっていないという場合、お盆やトレイを器代わりに使うという方法があります。
写真は、円形の木製トレーにワックスペーパーを敷いて、ひと口大に切ったパンを盛りつけたもの。
ワックスペーパーを敷けば、トレイに直接盛りつけるよりも清潔感があり、間に好きな色の紙ナプキンを挟むことで華やかにもなります。
パンはあえて小さめに切ることで、食べきりやすく会話の妨げにならないように気をつけました。
フライパンで調理した料理を、そのまま食卓に出してしまうのもおもしろい。
写真は、鉄フライパンに軽く塩をふった上にハンバーグをのせ、四つ割にしたマッシュルームを散らしたもの。このままオーブンに入れて180度で20分焼き、さらに缶詰のデミグラスソースを上からかけて10分ほど焼いたらでき上がりです。
写真の状態を参加者に見せたあと、オーブンに入れて肉の焼ける香ばしい匂いも楽しんでもらいながら、でき上がりの熱々をフライパンごとテーブルにサーブ。
ホームパーティならではの演出で盛り上がります。
基本からは外れますが、ホームパーティに便利なのが小ぶりのショットグラス。おもに、前菜として季節の野菜を使ったスープや食前酒を出すときに使っています。
パーティ開始直後の、まだ全員集合していなくて、大皿料理を出しにくい時間帯をつなぐのにちょうどいいのです。
数をそろえてもコンパクトで収納場所を取らないところ、丈夫で割れにくいところ、割れても困らない価格帯のものがあるのもいいところです。
料理は人に食べてもらうことを考えると、いろいろな工夫をしたり試したりして、上達するように感じます。
年末年始の人が集まるシーズンに、日常の延長にある気軽なホームパーティはいかがでしょうか。