医師の小林弘幸先生が教える人間関係の手放し方

小林弘幸先生
小林弘幸先生
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さまざまなストレスがあるなかで、圧倒的に多いのが人間関係のストレスです。しかも、自分ではどうしようもないのが厄介なところ。ソリの合わないママ友がいても、子ども同士の関係を考えると邪険にもできませんし、お隣さんとうまくいかなくても、すぐに引越しというのも難しいでしょう。

できるだけ深くかかわらず、ストレスを最小限にするしかないわけですが、ある程度の年齢になったら、人間関係も片づけて、シンプルにしていくべきだと私は思っています。

その人が自分にとって必要な人なのか? 無理をしてでもつきあうことでメリットがあるのか? 「そうでもないな」と思ったら、ゆるやかに距離をとっていけばいいと思います。

●尺度は「一緒にいて楽しいか」

少し冷たく感じるかもしれませんが、その尺度は損得ではありません。「一緒にいて楽しい」「幸せな気持ちになる」といった気持ちでの判断です。人生は限られています。無益だと思う人とかかわって自律神経を乱すよりも、自分や大切な人のために時間を使ったほうがよほど有益ではないでしょうか。

その一方で、断ち切れない人間関係で生じるストレスの対処法は、「期待しないこと」です。人間関係のイライラや不安は、「こうあってほしい」「こうあるべき」という期待を寄せ、それが裏切られたときに生じる感情です。

でも、期待をしたのも、裏切られたといって心を乱しているのもあなた自身です。相手は自分とは違う存在です。「自ら変わろう」という気持ちを促すことはできたとしても、その人自体を変えることはできないのです。

「他者≠私」がベースにあれば、ストレスにもならないはずです。もちろん、その境地に達するのは簡単ではありません。でも、「私と彼/彼女は別」と意識することで、ストレスは格段に軽減されるはずです。

●「迷い」を手放す

片づけ

「片づけ」が長らくブームになっています。たくさんの書籍が発売され、テレビの情報番組でも特集が組まれています。じつは医学的な見地から見ても、「片づけ」にはメリットしかありません。 
みなさんも、「めんどくさいな…」と思いながらも、部屋の片づけをしたら、なんだかすがすがしい気持ちになったという経験はあると思います。そのすっきりとした気分は副交感神経を高め、乱れた自律神経を整える効果があるのです。それだけではありません。「今日、何を着よう?」と迷い、クローゼットを開けて大量のワードローブの中から選ぶ。「ハサミどこだっけ?」とあちこちの引き出しを探すーー。こうした「迷う」「選ぶ」「探す」といった行為も実はストレスになっています。

ものが多く、散らかった部屋はそれだけで、自律神経を乱してしまいます。デスク周りやクローゼット、靴箱がシンプルに整っていると、日々、小さなストレスをなくすことができるのです。