あらゆる不安が頭から抜けない、いつも心配ばかりしている…そんな自分のメンタルと日々向き合っている人も多いのではないでしょうか? 自分のメンタルを少しでも落ち着かせるコツを、うつメンタルコーチで公認心理師の川本義巳さんに教えてもらいました。
すべての画像を見る(全3枚)なぜメンタルにおいて「整う」が大切なのか
最近、「整う(ととのう)」という言葉を聞くようになりましたね。「整う」と聞いて、私が思い浮かべたのが「メンタルが整う」「コンディションが整う」「準備が整う」あたりのどれか。でも調べてみたところ、「サウナ用語」だということがわかりました。
●サウナに入るとなぜ「整う」の?
私はあまりサウナを利用したことがないので知らなかったのですが、「サウナ」→「水風呂」というサイクルを3セットほど繰り返したあとに、とてもすっきりした状態になることを「整う」「整った」というそうです。なるほど、気持ちと体がすっきりするというか、リラックスした状態になることなのですね。実際自分がサウナでそういうことをしたと想像してみると、それとなく理解はできそうです。
サウナで「整う」ときは、スポーツやダンスなんかでハイになったときと同じような感覚があるそうです。「トランス状態」という表現もありました。そういえば今から十数年前に激しい音楽に合わせて踊りまくってハイになった後、とても気持ちよくなったことを覚えています。
●日常生活でも「整う」がいい効果をもたらす理由
さて、この「整う」ですが、私の専門のメンタルの分野においても、いい効果があります。
私たちは、不安やストレスを感じたときに、そこから抜け出そうという心理が働きます。そのときに「どういう状態で抜け出そうとするか」によって、うまくいく・いかないが違ってきます。
不安やストレスというのは、私たちにとって「不快なもの」です。ここから抜け出そうと思うということは、今その渦中にあるということになります。なので、通常の場合は「不快な状況 → 快の状況」という流れで考えたり、行動したりしがちです。
ところが、不快な状況(不安・ストレスがある状況)下では、どうしてもそのことに意識が向いてしまい、その人本来のパフォーマンスが発揮できません。そのため、余裕がないまま行動をしてしまったり、よいアイデアが浮かばず八方塞がりになったりします。
不安やストレスといった課題を解決するためには、100%そのことに集中した方が結果も出やすいし、効率的です。ではどうすれば100%そこに集中して、課題解決ができるのか?
それは一度メンタルを「整える」ことから始めるといいのです。不安やストレスがある状態では、そちらに意識がいくらかいくのでうまくいかないと言いました。なので、ここをまず整えて、100%課題解決に意識を向けられるようにできれば、解決の確率は上がります。
「整う」といっても、毎回サウナに入るということではありません(サウナも効果はありますが、毎回というのは無理があります)。日常的なことで、サウナの「整う」と同じ状態になればいいわけですよね。
先ほども紹介しましたが、激しいダンスもそうですし、全力ダッシュすることも同じ効果があります。あるいは、激しい運動でなくても、瞑想などもよいと思います。