親が高齢になり「実家をスッキリ片づけたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。親の体が不自由になってきている場合、ものが多いとケガをしてしまったり、快適に日常生活を送れなかったりすることも。ここでは、2年かけて実家の片づけを進めてきたというライフオーガナイザーの高田舞子さんに、上手な実家の片づけ方や、実際に片づける中でやってよかったことを教えてもらいました。

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70代の母が半身不自由に。実家の片づけは食器から段階的に

親
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ものを持つことが豊かさの象徴だった親世代。実家にはたくさんのものが溢れています。まだ使えるものを捨てるなんて選択肢にもならない彼女たちを促して、実家を片づけることは難問です。

脳出血で右半身麻痺となった70代の母ですが、半年の入院でリハビリを経て自宅に戻ることができました。不自由な身でのひとり暮らし再開に伴い、実家の片づけを始めてから2年。今でもまだ現在進行形です。私なりの実家の片づけ方と、やってよかったことをご紹介します。

●どこから始める?生きる基本は食事。まずはキッチンから

最初に手をつけたのがキッチン。両手での作業ができなくなったため、母の毎日から料理という家事は消えます。しかし、毎日必ず食事は摂る。そこでまず行ったのが、料理道具と食器棚の整理です。

3世代が集って食事をする機会が年に何度かありましたが、麻痺の残る左手での食事は品のよい姿ではなくなりました。もう皆で食卓を囲むことはできないし、棚いっぱいに積み重なった皿を片手で取りだすのは難しい。

食器

食器の数はもちろん、持ちやすさや重さなど機能性を優先し、5割収納まで見直し。上段にはわたしたちが帰省した際に使う食器を収めました。

菜箸や保存容器などの道具も大量にありました。「なぜお玉がみっつも?」と聞くと、用途はそれぞれ異なるようでしたが、もう母が使うことはありません。「使わないから捨てるね」ではなく、「私が使いやすいものを残すね」と声をかけると納得してくれました。

ゴミ袋

山登りが趣味だった両親。水筒もたくさんありましたが、開閉ができなくなったのでこれを機にすべて処分。キッチンだけでゴミ袋は10袋ほどになりました。

 

●要らないものを選ぶのではなく、使いたいものを選ぶ

片づけを進めるうえで要るか要らないかを決めるのはあくまでも母。このとき意識することは「これ捨てる?」ではなく、「これ使う?」と聞くこと。

私たちは一度手にしたもの、とくにお金を出して買ったものに価値を感じる傾向があります。それらを捨てる理由を探すには、時間も労力も必要。すぐに疲れてしまいます。

前向きなキーワード「これからも使いたいか」「どれが大事か」によって、目の前のものをシンプルな目線で仕分けていくことで視界はクリアに。始めは時間がかかっても、徐々に慣れて決断力もあがります。

クローゼット

服の整理も膨大な量でしたが、「これ着たい?」と尋ねながらクローゼットから服を出し、母に見せながら仕分けていきました。

とはいえ、完璧に手放せるわけではありません。右足に装具をつけるので、裾の細いボトムスはNG。両手作業が必要なボタンもNG。おしゃれなブラウスを着ていく場面ももうありません。服の整理はおのずと選択肢が絞られましたが、着られなくなった服にも思い出はあります。

手放すことを迷う気持ちが見えれば、それを尊重しました。迷った自分を否定されないこと、迷ったものを捨てないことで母も安心します。手伝う側の寄り添い方も大事です。