●安心がなくなってしまった子どもたちの行動
親から与えられる「安心・安全」という名の充電器がないと、子どもたちはやる気になれません。また、充電器になりそうな大人がいれば、見知らぬ人でもなれなれしく近寄ってしまい、トラブルに巻き込まれることもあります。また、わざと大人に暴言や暴力をふるって反応を見ることで、「その充電器があてになるか、壊れないかを試す」といった行動を取るようになるのだとか。
すべての画像を見る(全4枚)「そのほか、親がどこかへ行かないか不安でずっとくっついたり、そもそも親という充電器を信用せずに近づかなくなってしまって、他者と安定した関係がつくれなくなるケースもあります。また、『親(充電器)はあてにならないものだ』という誤った考え方を植え付けられてしまい、自分が受けた虐待を次世代に引き継いでしまうようなリスクだってあります」
●保護者が勘違いしてしまっているケース
さらに、虐待している保護者が「自分は子どもにとってふさわしい親(充電器)」だと勘違いしているケースも多いのだとか。
「虐待をしている親御さんの中には、自分が行っていることはしつけの一環であると考えている人も少なくなく、虐待の自覚がありません。でも、大切なのは、『子どもにとってどうなのか』という視点です。子どもにとって「安心・安全」だと思える充電器でない以上は、虐待に当たることもあります」
昨今は、子どもの前で夫婦ゲンカを行うことも、「面前DV」という心理的虐待にあたるとみなされます。子どもに対して、いつでも「安心・安全」である充電器でいられるかを、親はきちんと意識することが求められるでしょう。
●虐待を受けた子どもたちは、児童養護施設でどのようなケアを受けるのか?
虐待によって、発達に課題が生まれたり、心に傷を負ったり、不登校になったり、自傷を繰り返したり…といった課題を子どもが抱えた場合、児童養護施設でどのようなケアを受けるのでしょうか。
「重篤な症状が出て専門治療が必要な子は、児童精神科医のいる病院に通院することもあります。そこまでいかない子たちは、週1回くらいのペースでカウンセリングやプレイセラピー(遊戯療法)、グループセラピーなどを行っています。その中で、親や学校、恋愛、SNSの悩み、自分の生い立ちなどを語るなど、それぞれに向けたプログラムなどを受けてもらうことがあります」
『傷ついた子を救うために マンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち4』(扶桑社刊)を通じて、児童養護施設で暮らす子どもたちの実態や彼らが抱えるリスクについて触れてみてはいかがでしょうか。
傷ついた子を救うために マンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち4
本書でご紹介する「児童養護施設」や再非行少年を受け入れる「少年院」教育のあり方は、学校や日常生活で困っている子どもを支援するための何らかのヒントとなるはずです。