●家庭でつくる料理は、もっとシンプルでいい

長谷川あかりさん
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――主食、副菜が多すぎず、少なすぎず。バランスのいいメニューも人気の理由です。

「家庭でつくる料理って、もっと単純でいいと思っています。栄養学って、極めていけばいくほど、スパッとした答えがなくて、“バランスよく食べること”という抽象的な世界になっていくのですが、それでも基礎から学んでいくうちに、現代人の食生活は、栄養過多な部分も多いなと感じるようになりました。

たとえば今って、糖質ダイエットが定着していることもあり、タンパク質を使ったおかずをたくさんつくって食べるのがOKみたいな風潮がありますよね。でも栄養学の面から見ると『一食でこんなに取らなくても大丈夫じゃないかな?』『もしもつくるのが大変なら、栄養素的には十分たりているから毎日そんなにがんばらなくても大丈夫だよ~』と思うことも多くて。またアスリートの奥様が、朝からたくさんのおかずが並んでいる様子をSNSに投稿して、それに『理想的です!』というコメントがずらっとついている光景もよく目にします。激しく体を動かすプロアスリートならいいのですが、普通の人は一度の食事でそこまで大量の種類のおかずを食べるを必要はないんです。

また学生時代から、スープ作家の有賀薫さんのアシスタントもさせていただいているのですが、有賀さんの料理哲学から学んだ部分も大きいかもしれません。外食では華やかだったり、派手な料理を楽しみ、家では、簡単で、温かくて、栄養が取れて、食べ疲れしないものがいちばん。

それからこれは持論ですが、コンビニやお総菜屋さんで買えるものは、つくりません。たとえば本格的なデミグラスソースの煮込みハンバーグや、定番のひじきの煮物などは、つくるのが大変ですし、すでにおいしいものが市場に出回っていますから、つくる方ががんばる必要はなく、もう充分かなと(笑)。むしろお店では買えない、ゆでただけの野菜とか、自分好みに野菜をあえたものなどこそ、家でつくる意味があると思っています。家でつくれて、食べ疲れしなくて、なおかつ多くの人が健康になれるようなレシピを提案していきたいです」

「本格魚介中華粥」のレシピ

中華粥

【材料とつくり方】

米1合をごま油で炒めたら、熱湯1.2リットル、ホタテ缶、ショウガを加えてフタをし、40分弱火で煮る。

塩小さじ1、魚醤小さじ1/2で調味後、白身魚刺身をのせ、余熱で火を通し完成。ここでは、魚醤はしょっつるを使用。ナンプラーでも可。

 

 

インタビュー後編はこちら

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