狭いキッチンで収納スペースを確保するに重宝するつり戸棚。便利なことは確かですが、家族が成長し、年齢を重ねていくうちに使い勝手にズレが生じてくることも。15年ほど使ってきて、50代になった日刊住まいライターにも、使い方や心境に変化が出てきました。新築を考えている方、リフォームを予定している人は参考に。

キッチンのつり戸棚
キッチン用品をたっぷり収納できるつり戸棚
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15年前は収納力を優先。全面つり戸棚が必要と感じた

キッチンの収納

筆者の家のキッチンはコの字型のプラン。コンロと冷蔵庫以外の上段スペースが全面つり戸棚になっています。

以前住んでいた家の対面キッチンのつり戸棚が便利で、新居にも全面につり戸棚が必要だと感じ、設置したのです。当時、筆者はキッチン用品をたくさん持っていて、収納スペースがたりないと思っていました。

できあがったキッチンは、想像していたよりも圧迫感がありました。でも、ものをすべて収納できるメリットを優先した結果だし、とくに不満はありませんでした。

ところが引っ越しからだいぶ時間がたち、ライフステージもライフスタイルも変化します。キッチン収納に対する考え方が変わり、便利だと思っていたつり戸棚についての考え方も変わっていきました。

 

つり戸棚の中

たとえば、子どもが小さい頃はよく使っていた製菓道具。成長とともにお菓子づくりの頻度が減ったため、つり戸棚の最上段に移動させました。

つり戸棚の最上段は、脚立に乗らないと届きません。なので、年に1度だけ使うお節用の重箱など、使用頻度の低いものを収納していました。

 

50代は収納力よりも安全面を重視

しかし50代を過ぎて、一度、脚立から落ちそうになった経験をすることに。年に数回とはいえ脚立に乗ってものを取り出すことが怖くなってしまいました。

落下してケガをしたら元も子もありません。そこで、どうしても使いたいものがあるときは、脚立を使わなくても手が届く家族に取ってもらうことに。

とはいえ、いちいち頼むのも気が引けます。最上段のものを使う頻度はますます減っていきました。

 

使い勝手を考え、最上段はあきスペースに

食器の収納

そんな状況のなかで、少しずつものを減らし、使い勝手のいい収納になるよう、持ち物も見直すように。すると、収納スペースに余裕が出てきました。

そこで、余裕ができたスペースへ、最上段の棚に入れておいたものを移動。最上段の棚を使うのをやめたのです。おかげで家族に最上段のものの出し入れを頼むこともなくなりました。

今は自分の手の届く範囲にしかものが置かれていないので、使いやすくて快適です。

 

棚の中

キッチンがコの字型のプランのため、つり戸棚もあわせてコの字型。ここは、ものの出し入れがやりづらくて、もっとも使いにくい部分です。

こちらは使用頻度が低くて、思い入れのあるものを置いてあるだけの状態。家づくりから15年が過ぎ、今あるものの量なら、コーナー部につり戸棚は必要ないと感じます。