9月は防災月間。災害から大切な家族と自分を守るためには、事前の備えと正しい知識が不可欠です。今回は、国内外、さまざまな被災地に入り、医療支援を行ってきた国際災害レスキューナースの辻直美さんに、命を守る選択をクイズ形式でアドバイスしてもらいました。
命を守る防災術。助かるのはどっち?
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正しいと思っていた防災知識が時代遅れになり、実際の避難生活にマッチしないなんてことも…。常に情報のアップデートを心がけましょう。
●1日に必要な水の量は?「1リットル」VS「3リットル」
1日に必要な水の量は、最低でも飲用・炊事用に2リットル、体や食器を洗うなどの生活用水に1リットルとされています。
【正解:3リットル】
「1人につき1日3リットル、家族全員分を備蓄しておきましょう。断水してから給水車が来るまで10日程度かかることが多いので、最低限、10日分は備えておくのがおすすめです」
災害用の保存水ではなく、ミネラルウォーターのローリングストックでOKです。
●被災後により役立つのは?「歯磨きガム」VS「マウスウォッシュ」
口の中を清潔に保つことは、新型コロナなどの感染症の発症・重症化の予防につながります。
【正解:歯みがきガム】
「しっかり歯磨きできる環境にない場合のおすすめは、歯みがきガム。水がいらないうえに、『かむ』ことで被災時のストレスが緩和されます。マウスウォッシュは吐き出したものを流す水が必要になるので、水が十分にない環境ではやや使いづらいかもしれません」
●防災リュックの中身を見直すタイミングは?「年1回」VS「3か月ごと」
衣類や薬など、必要なものは季節によって変わります。
【正解:3か月ごと】
「小さな子どもがいる場合は、おむつや服のサイズはすぐに合わなくなりますし、食事も月齢や年齢によって異なります。防災意識が高まる9月を起点にして3か月ごと(12月、3月、6月)に備蓄食品の賞味期限と併せて確認しましょう」
●防災リュックをしまう場所は?「リビング」VS「玄関」
リビングの収納スペースに置いておくと、日々の生活にじゃまで奥へ奥へと追いやられ、いざというときに取り出せなくなることも。
【正解:玄関】
「一方、避難口でもある玄関に収納しておけば、すぐに取り出して避難所へと向かえます。外出先から防災リュックを取りに戻ったとしても、家の中に入らずにさっと持ち出せます」
●子どもに持たせておくべきは「非常食」VS「テレホンカード」
スマホを持たせていても、災害時につながらない可能性は大。
【正解:テレホンカード】
じつはテレホンカードは今でもコンビニなどで買えます。公衆電話は市街地には1km四方に、それ以外の地域には2km四方に1台置くことが定められています。
「子どもの活動圏内にある公衆電話の位置を確認して、電話のかけ方を一緒に練習しておいてください。子どもは非常食を持たせてもすぐに食べてしまうので要注意。持たせるならよく説明して理解を促してあげてくださいね」
●水害で避難するときに履くべきは?「長靴」VS「スニーカー」
【正解:スニーカー】
「水害時の避難はスニーカー一択です。丈夫なので、革製のものがベスト。ひもをしっかり結び、脱げないようにして避難しましょう」
避難の際には、危険物や溝などが水で見えなくなっているので、傘などで地面を突きながら安全を確認しつつ進みます。
「長ぐつは、口が大きいので水が入って重くなり、スムーズに歩けなくなります。また、瓦礫が入ってけがをするリスクもあるので絶対に避けて。なお、ビーチサンダルは脱げやすいので論外です」
●家族がバラバラで被災した場合の集合場所は?「公園などの広域避難所」VS「集会所などの一時避難所」
「一時避難所」は、定員オーバーで入れないことがあり、また運営は行政ではなく地域住民にまかされているので、そもそも開いていないこともあるそうです。
【正解:広域避難所】
「家族の集合場所は『広域避難所』にしておくのが正解。公園や河川敷などが指定されていることが多く、オープンスペースなので落下物の心配もありません。空間が広いので、目印になる木やトイレなど待ち合わせ場所を家族で話し合って決めておきましょう」
ESSE10月号では、ほかにも医療支援を行ってきた国際災害レスキューナースの辻直美さんに指南してもらった防災術を紹介しています。ぜひチェックしてみてください。