日一日と気温の下がる季節になりました。寒さが深まるにつれて食べたくなるのが鍋物です。
すべての画像を見る(全14枚)「家で鍋というとワンパターンになりがちですが、食材や調理器具の選び方次第で、さまざまに楽しめます」と教えてくれたのは、料理ブロガーで、テーブルコーディネートにも定評のあるぶち猫さん。
家庭で楽しめる鍋物のテーブルセッティングについて、詳しく語っていただきました。
みぞれ鍋、湯豆腐、アヒージョ…さまざまな鍋料理の楽しみ方
ここ数年、冬になると必ずつくるのがみぞれ鍋です。
用意するものは、昆布だしをベースに、火がとおりやすいよう薄めに切りそろえた野菜、しゃぶしゃぶ用の豚肉、たっぷりの大根おろし。
お店に行くと、お鍋の具材は一枚の大皿にずらりと並べて提供されるイメージが強いですが、家庭であれば、こんな風に小さめの器に分けて並べるアレンジもかわいいと思います。
みぞれ鍋は、土鍋に昆布だしをはって野菜を入れて火にかけて、8割ほど火がとおったタイミングで大根おろしを汁ごと加えます。
彩りを考えて、大根おろしの上に火のとおりやすい青菜をのせるとよりきれい。今回はミズナを使いました。
大根おろしが温まってだしがふつふつと沸いてきたら、菜箸で薄切りの豚肉を鍋に入れて、しゃぶしゃぶしたらできあがり。
ちょうど火のとおった野菜と豚肉に大根おろしをたっぷり絡めていただきます。
みぞれ鍋のような水炊きの鍋を食べるとき、わが家ではつけダレを2種類用意するのが定番です。
写真の左側はポン酢しょうゆ、右側は自家製のラー油入りゴマダレ。テイストの違う2種類のタレを用意することで、味に飽きることなく最後まで鍋を楽しむことができる仕組みです。
タレに合わせて取り皿の色や形を変えると、見た目にも変化が出て食卓が楽しい雰囲気になりますね。
●竹ザルを具材の盛りつけに使う
冬の鍋のもうひとつの定番といえば、湯豆腐。
シンプルに豆腐だけでも粋ですが、だしの出る食材や野菜を一緒に煮込むと立派な主菜にもなります。
今回はちょっと豪華にカキ入りの湯豆腐をつくってみました。具材が少なめの鍋をするときにあると便利なのが、小さめの竹ザル。
普段は料理の下ごしらえの道具としても使えますが、食卓で湯豆腐をするときには下に小さめの平皿を敷くことで、テーブルを汚すことなく鍋の具材を盛りつけることができます。
お湯をはった土鍋の中央には、みそベースの自家製のタレを入れたそば猪口を置きました。
具材と一緒にタレも温めることで、熱々の湯豆腐をよりいっそう楽しめるという趣向です。
カキを入れることでだしの味がぐっと濃厚になり、みそダレと合わせると湯豆腐だけでも十分に満足できるごちそうになりました。
●土鍋を使わない鍋料理のバリエーション
土鍋はひとつあると重宝しますが、家族の数が少なかったり、冬しか使わない鍋を収納するスペースが確保できなかったりという場合もあるかと思います。
そんな場合におすすめなのが、直火にかけることのできる深皿。
土鍋ほどの収納スペースは必要なく、また、普通の鍋としてもオーブン料理の器としても使用できるので、季節を選ばずに一年中活用することができます。
今回は、冬の定番の白菜の重ね蒸しをつくりました。
白菜と小ネギ、豚バラ肉を重ねたものを均等の高さになるように切り、隙間にマイタケをつめ込んで、少々のお湯を加えて蒸し煮にしたものです。
土鍋でもつくれますが、この直火可の深皿だと白菜の高さに合わせてきっちりつまるので、見た目が美しく仕上がるように思います。
ポン酢しょうゆで食べてもおいしいですが、個人的にはしょうゆに青のりを混ぜたタレで食べるのがイチオシです。
直火にかけられる器といえば、スペイン料理でよく使われるカスエラ皿。
普通のお皿として使えるほか、電子レンジやオーブンも可、さらには直火で使うこともできる万能な器です。
日本の家庭でいちばんよく見かけるのは、オリーブオイルで具材を煮込んだアヒージョではないでしょうか。
今回は、天然のナメコとエノキでアヒージョをつくってみました。
アヒージョを構成する基本的な要素は、オリーブオイル、刻みニンニクと塩です。入れる具材は水分が多いものでなければ、なんでも大丈夫。
カスエラ皿にオリーブオイルと刻みニンニク、食べやすい大きさに切った具材を入れて、中火でじっくりと火を入れて、最後に塩で味つけをすればできあがりです。
ニンニクと具材のうま味が溶け出したオリーブオイルは絶品で、残ったオイルにパンをつけて食べると止まらなくなってしまう危険な料理でもあります。
ほかに、わが家ではすき焼きをするときにはフライパンを使っています。
つくり方にもよりますが、まず牛脂で長ネギをじっくりと焼いて甘味を出してからお肉を焼いて、少量の割り下を軽く煮つめて具材に絡ませて食べるというタイプなので、普通のフライパンでも十分おいしく調理できます。
鍋と同じようにセイロ料理を楽しむ
●簡単でおいしくて体にもいい、万能調理器具のセイロ
一般的な鍋料理とは少し違いますが、冬に卓上で楽しめる料理といえば、蒸しものがあります。
ちょっとかさばりますが、本格的なセイロがひとそろいあると、忙しいときでも簡単に温かくてヘルシーで栄養バランスの整った食事を用意することができます。
写真は冷蔵庫に残っていた野菜と白身魚(このときはタラ)をセイロにぎゅうぎゅうにつめ込んだもの。
たくさんあるように見える野菜ですが、蒸すとぐっと小さく食べやすくなるので、想像以上に量を食べることができます。
蒸し上がりはこんな感じです。蒸すことで野菜のうま味がぐっと凝縮されて、軽く塩を振るだけでもおいしく食べることができます。
今回はたまたま葉物野菜が多くありましたが、根菜を使ってもいいし、魚だけでなく肉を使うのももちろんあり。バリエーションは無限にありますが、どれもつくり方はほぼ同じです。
家族の数に合ったセイロがあると、冷蔵庫の余り野菜を定期的に一掃することできるので、食材をムダにすることがなくなるうえ、体にもよい食事を簡単に用意することができて、ストレスフリーの生活に。おすすめです。