ヨーロッパでは通じない「SDGs」という言葉
たかまつ:日本のSDGsの盛り上がりはどう感じていますか?
ノイハウス:私個人の意見ですが、SDGsというわかりやすい共通言語が出てきたこと自体は素晴らしいことだと思います。それを掲げる企業が成果を出すことを期待しています。一方で不思議なのが、ヨーロッパではSDGsという言葉を使わないんですよね。
たかまつ:私もまさにそれを感じています。イギリスやフランスで「SDGsに関心がある」と言っても通じなくて、「サステナビリティのこと」とわざわざ言い直したり。
ノイハウス:言い換えないと、伝わらないですよね。
たかまつ:私の仮説ですが、EUでは早くからレジ袋が規制され、イギリスでは企業が規定量以上のプラスチック製品を提供すると罰金が科せられる法律もある。SDGsという言葉がなくても、対応が進んでいたんですよね。一方、日本はまるで動きがなかった。だからSDGsという言葉に強く反応したのではないでしょうか。
ノイハウス:日本では「SDGsだからやる」的な感じがありますね。ジェンダー平等も17の目標にありますが、女性の活躍に理由が必要? と思います。
たかまつ:私は政治分野の情報発信や取材が多く、女性議員を増やす必要があると言うと、いまだに「能力がないから選ばれないだけ」といった批判がきて、びっくりします。
ノイハウス:どこまで基本に戻って言葉にしなきゃいけないんだろう…と思いますよね。
たかまつ:ジェンダーフリーやエコは明らかな正義ですが、政治問題は立場も多様でトレードオフなことも多い。「利害関係を調整する議論を」と言っているのに双方から怒られたり。
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ノイハウス:環境問題も同じです。たとえばレジ袋の有料化についても、「プラスチック業界の人はどうするんだ!」という意見が出たり。でも、それもまた、日本特有な気がします。そうしてバランスを取り続けてきて、結局、なにも変わっていないわけです。
たかまつ:この先、斗々屋さんの目指すところはどこでしょう?
ノイハウス:斗々屋の成功はもちろんですが、いちばんは量り売りのお店を増やすことです。私たちの小さいチームで店舗を増やすのには限界があります。思いに共感できる人と、生産者さんを含めたネットワークやレストランのメニューといった斗々屋のメソッドやノウハウをシェアし続けたい。どの街にも量り売りの店があって、当たり前に利用されている、それが理想です。