●50歳で初めての「レジ打ち」で得たもの

「できないこと」が「できなくてもいいこと」に変化したことが、年齢を重ねた証でしょうか。これは決して悪いことではなく、むしろ年月をかけてさまざまなことに挑戦した結果として得た、いわば「年の功」! 大事な個性です。

しかしだからこそ、この年齢になってから「今はできないけれど、きっといつかできるようになりたい」事柄を見つけることはとても重要だと思うのです。

できるようになった自分を想像するとワクワクすること。去年まではできなかったけれど今年は、できるようになったという喜び。最高のアンチエイジングではありませんか。

レジカウンターに立つ女性
ショップでは接客やレジ打ちもこなします
すべての画像を見る(全5枚)

私の場合、非常にちっぽけなことですが、自分の店をもったことを機に50歳にして初めてレジが打てるようになったときは妙に感動しました。14歳から俳優の仕事をしていたことで、アルバイトの経験もなく50歳を迎えていましたので、接客をしながらレジを打つことは、とても緊張する作業でした。

間違って打ち込み、お客様に迷惑はかけないだろうか。手間取って怒られはしないだろうか。大袈裟に言えば、免許を取得して初めて自分の車で運転をした時のような感覚にさえ似ていました。

●老いと抗うのではなく「調和」を保っていきたい

さてさてそんなわけで私のアンチエイジング。じつはまったくもってアンチではなく、「老い」とは「調和した関係」を保っていきたいと考えています。時を経る(エイジング)ことと調和(シンフォニー)したい、そういう思いを込めて「シンフォニーエイジング」とでも名づけましょうか。文法はさておき、響きは悪くない気がします。

今私が挑戦したい「シンフォニーエイジング」のための作業は、今日までの写真をアルバムにまとめること。

アルバム
若い頃のアルバム

スマホやパソコンが普及する前までは、記録好きの父の影響もあり、わりとマメにアルバムを残していたのですが、デジカメの出現を境に1998年頃からパタッっとやめてしまい、この20年の月日の流れが漠然としています。

日記帳
日記帳

日記を書くことや、自身のアルバムをつくる事は精神的にとても穏やかになると聞いたことがあります。少なくとも私自身は、日記を書くことやアルバムをつくることは、地に足をつけて呼吸をしている気持ちにさせてくれる大切な作業だと感じています。

途絶えてしまったアルバムをつくりながら、時の流れを心に刻み、上手に年を重ねていくこと。年齢と調和しながら生きていく「シンフォニーエイジング」を、勝手に名づけて楽しみたいと思います。

50代からの毎日を応援する記事多数!「これからの暮らし by ESSEonline」はこちら

川上麻衣子さんの連載コラム「猫とフィーカ」を読む