間取り図と外観、周囲の環境について

平面図
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外観

コンクリート造の長方形の箱を3本並べたような形のTさんの住まい。外部からの視線を制して、中のプライバシーを上手に確保していることがうかがえます。

 

コンクリートが切り取る緑の景色をめでる暮らし

コンクリート壁に切り取られた美しい山の緑

モダンな印象の打ち放しのコンクリート壁に切り取られた美しい山の緑。円形のジェットバスが主役となる浴室は、床から天井まで白いタイルが貼られ、窓外の緑を際立たせています。

「四季折々に表情を変える山の景色を楽しむバスタイムは、最高のぜいたくです」。そう浴室の印象を語ってくれたのは、コンクリート打ち放し住居を新築したTさん夫妻。

じつは隣に普段の生活を送る住まいがあり、新しく建てたこの家はいわば「非日常を過ごすための家」。家の中央に南北に長いLDKがあるほかは、寝室を想定した居室がひとつと浴室・洗面だけのシンプルな間取りが光ります。

 

リビング
キッチン脇の階段を半階分上ったところに位置するリビング。「床の高さを変えることで、LDK空間に変化を与えました」と設計者の後藤耕太さん

コンクリートの無機質な空間なのに温かみが感じられるのは、妻が集めたアンティークの建具が放つ存在感です。「コンクリートと古い建具はどうしても実現させたい組み合わせでした」(妻)。

 

LDK
南北に細長い、四角い筒状の形をしたLDK。生活感を感じさせるような種々雑多なものは一切置かれていない空間は、美術館のカフェのようです

一方、コーヒーをいれるのが趣味の夫のお気に入りはキッチン。じつはリタイア後、カフェを開こうと考えたのが家づくりの動機でした。

結果的にカフェ計画はいったんお蔵入りになりましたが、コンクリートの住まいへの憧れを原動力に、リラックスのための非日常空間として家づくりを完遂させました。

「山の緑を見ながらコーヒーをいれるのが至福の時間です」(夫)。凜とした空間にただよう芳醇なコーヒーの香り。時折聞こえる野鳥の声がアクセントとなるダイニングで、夫妻の豊かな時間が始まりました。

 

キッチンに立って山を眺めるのが至福の時間

リビングからDKを見下ろしたところ

リビングからDKを見下ろしたところ。フロアにレベル差を設けることで間仕切りを立てずに空間を分けています。

 

キッチンからダイニングを見たところ

キッチンからダイニングを見たところ。「ここから見る山の景色がいちばん」と夫妻。天井の高い空間は、夫妻のねらいどおりのシンプルモダンな雰囲気。

 

寝室

玄関ホールの北側にある寝室。今は予備室として使われています。左のガラス戸は全面がクローゼット。

 

納戸

玄関ホールの南側にある納戸には、妻が集めたアンティークの小物などが収められています。

「夫はゲタ箱を置こうと言っていたのですが、小物を置く場として認めてもらいました。季節ごとにしつらえを替えて楽しんでいます」(妻)。

 

玄関ホール

アンティーク建具の玄関扉を開けて目に飛び込んでくるのは、トップライトが印象的な静ひつな玄関ホールです。

 

給排水用の配管

キッチンと洗面を隔てる壁には給排水用の配管が施されています。

「行政上の問題で、カフェはいったん諦めているのですが、条件が変わったときのために準備は万端です(笑)」(夫)

 

収納スペース

半階分上がったリビングの床下は大きな収納スペースになっています。この収納を使いこなせば生活感を表に出さずに暮らすこともできそうです。

 

トイレ

玄関ホールから通路に入り、東の扉を開けるとトイレがあります。洗面と同様にトップライトからの自然光が入り、クリーンで明るい雰囲気になっています。

 

スイッチプレート

設計者の後藤さんは住宅の設計とともに、家具や住宅設備のデザインも行っています。Tさんの住まいでは、キッチンの側壁から突き出たスポットライトや、リビングに至る階段脇の手すり、スイッチプレートなどが後藤さんのデザイン。真ちゅう製で機能に徹した形が特徴です。

 

階段

コンクリートの壁で視界をコントロールした階段。傾斜がゆるやかで上り下りもラクです。

 

リビング

開放感あふれるリビング。晴れた日には、この窓から住宅街の屋根の向こうに御嶽山(おんたけさん)の山並みが望めます。