家の建物正面の見栄えは、植栽と組み合わせることで、ずっと魅力的になります。道路と敷地の境界に塀を設けず開放的にすれば、通行人の目をいっそう楽しませてくれるでしょう。とはいえ、プライバシーや防犯性の心配も。一級建築士の中澤克秀さんが、自邸を例に、美しくて、安心できる、魅力的な建物正面のビジュアルづくりについて解説します。

建築家の自邸
建物と植栽が見事に調和している中澤さんの自邸
すべての画像を見る(全10枚)

30坪台の敷地でも、魅力的なファサードはつくれる!

建ったばかりの頃
できたばかりの建物前のスペース。まだ、なにもない状態

道路に面した建物正面を建築用語ではファサードといいます。密集した都市部の敷地では、建物正面しか見えないことが多いため、このファサードが街並みを形成し、家の顔にもなります。

ですから、どのようにファサードをかっこよく見せたらいいか、建主は設計者と一緒に大いに悩むところでしょう。

筆者の家は、都市部にありがちな、住宅がすき間なく建ち並ぶ分譲地にあります。敷地面積は、ほぼ正方形で120㎡。西面道路に接していますが、南側には3階建アパートが建っていて、のぞかれる心配もあり窓をつくることが難しい敷地でした。

そこで上の写真のように、アパートからの視線をさえぎりながら、太陽光を取り入れる形として、中庭を囲むコの字型プランの家を設計しました。