●いざ開発が始まるも、まだまだ問題は山積み…

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片寄涼太さん(GENERATIONS from EXILE TRIBE)は、主人公の陽菜を応援する先輩「青山悠斗」役。(c)フジテレビ
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しかし問題は山積みでした。「スライス材を巻く」方法がよさそうだとわかってきましたが、長さ、巻き方、太さ、ノリは何がよいか、そもそも何の木がいいか、また、製造会社をどうするか…。木工用ボンドから瞬間接着剤、こんにゃくなどあらゆるノリを買ってきてスライス材を巻く日々。インターネットで探したスライス材を扱うさまざまなメーカーに片っ端から打診しては断られるなか、唯一電話を折り返してくれた会社がありました。

スライス材のプロであるこの会社が協力してくれたことで、一気にストローの形がととのってきました。同時に、知人を介して知り合ったザ・キャピトルホテル東急の副総支配人が興味を持ってくれ、ホテルでの導入を検討してくれることに。

国内外のVIPが利用するザ・キャピトルホテル東急では、じつは実績のない新しいものの導入には反対の声も多かったそうです。しかし、木のストローの意義と可能性を信じて導入を決め、そのあかつきには、合同で記者発表をすることが決まりました。

 

●記者会見は大反響。世界からも注目が集まるアイテムに

2018年12月、記者発表直前に納品したストローから油が浮いてくるなど、続出するトラブルをなんとか乗り越えて開いた記者発表は、大反響を呼びました。記者会見直後にYahoo! のトップニュースになり、夕方の報道番組、翌日のニュースでも多数報じられ、殺到する問い合わせ電話にトイレに立つ暇もないほどだったそうです。

それから木のストローは、2019年G20大阪サミットでの採用、2022年ドバイ万博で日本館のお土産として採用され、大きな展開を見せています。間伐材を利用することで、森林保全、防災、資源再利用、廃プラ削減に効果があります。

また、地域の間伐材を使って、地域の雇用で作成し、地域の飲食店に卸すことで、地産地消のビジネスモデルもつくりあげました。木のストローがSDGsのいくつもの課題を解消できるアイテムとして日本だけでなく世界からも注目されています。

 

●たくさんの人とのつながりで、「木のストロー」が実現

環境問題には素人のいち会社員が、その熱意で周りの理解と協力を得、幾多の苦難を乗り越え、世界に通用する商品とビジネスモデルをつくりあげました。

西口さんは言います。

「何もできなかった私が、できなくて困っていると周りに言うことで、助けてもらったり、知っている方を紹介していただいたりと、大きな広がりが生まれました。そのたくさんの方とのつながりで、思いも寄らぬ大きな事ができたということをご覧いただくことで、今何かに迷っている方の一歩を踏み出すきっかけになることを祈っています」

 

木のストロー』(扶桑社刊 アキュラホーム・西口彩乃著)が原案のドラマは、2月26日(土)15:30~、フジテレビ(関東ローカル)にて放送予定。こちらもぜひチェックしてみてください。 

木のストロー

「住宅会社がストローをつくってどうするんだ!」間伐材再利用と廃プラ問題解決のため、ど素人の住宅会社広報担当が「木のストロー」制作に立ち上がった。社内の反発、失敗続きの試作品、記者会見直前の大トラブル…。困難と対立を乗り越え、開発を成功させるまでの実話。

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